【映画】スティルウォーター [映画評]
展開もラストもとても重いサスペンスです。
主演はマットデイモン。中年体型のうえにひげと帽子で最初は分かりませんでした。
いままでの出演作とのイメージがまったく違います。
主人公のビルは、スティルウオーターに住む石油採掘の作業員ですが、失業中です。
妻はなく、母との二人暮らしです。敬虔なキリスト教徒ですが、過去には刑務所暮らしもしています。
娘のアリソンはレズです。フランス・マルセイユに留学中でしたが、痴情のもつれから恋人かつ同居人のリナを殺害した罪に問われ、刑務所に入れられています。
娘と主人公は仲が悪いです。
主人公はフランスに移住し、娘との面会を繰り返しているうちに、娘から弁護士あての手紙を渡されます。
その手紙には、真犯人はアキームだと記されています。
主人公は弁護士に手紙を渡すものの、軽くあしらわれたので、自ら事件を調べることを決意します。
たまたまホテルで隣になったシングルマザー母子の協力を得ますが、アキームが住む場所は治安が悪く、逆に暴行されてしまいます。
父が勝手な行動を起こしたことにアリソンは激怒し、以降は面会謝絶となります。
主人公は解体工として仕事を続けつつ、母子との交流も深め、ほぼ家族同様となります。
ところが、子と一緒にサッカー観戦に行った先で、アキームを見付けます。主人公は子と一緒であるのにも関わらず、アキームを監禁します。そのアキームは、娘に殺害を依頼されたと告白します。
主人公は元警官にDNA鑑定を依頼します。
元警官は主人公がアキームを監禁していることに気が付き、母にそれとなく気づかせるように耳打ちします。
警察がアパートに踏み込みますが、母はアキームを逃がしていたので、ことなきをえます。もちろん母は激怒し、主人公は追い出されます。
元警官が持ち込んだDNAサンプルが決め手となり、娘は釈放されます。
そして二人でスティルウォーターに戻るのですが、二人ともすでに多くのものを失っていました。
という映画です。
いやあ、重いですね。
主人公は改心していますが、ときおり、地がでて暴走します。この暴走が、周りを巻き込み、母子との平穏な生活を崩してしまいます。
娘も父を嘘つき呼ばわりしますが、結局のところ自分もウソをついており、さらにそのウソが父を崩し、平穏な生活を破壊します。娘の心情も揺れ動き、自殺騒動を起こしたり、イスラムの教えに帰依して心の平穏を取り戻そうとします。
二人は故郷に帰り、一見すると元のさやに戻ったように見えます。
しかし、そのさやは単なる抜け殻です。
全てを取り戻したように見えて、全てを失ってしまう。それだけに考えさせられる映画かと思います。
構成としては設定が多くて状況を理解するまで時間がかかりましたが、空港のちょっとしたシーンや、地下室などこまかい伏線がラストに繋がる良質な映画かと思います。
製作費20百万ドルに対して、興行収入も20百万ドルなので赤字です。残念。ただ見る価値のある映画だと思います。
心に重く残るサスペンス映画を見たいひとのために!
主演はマットデイモン。中年体型のうえにひげと帽子で最初は分かりませんでした。
いままでの出演作とのイメージがまったく違います。
主人公のビルは、スティルウオーターに住む石油採掘の作業員ですが、失業中です。
妻はなく、母との二人暮らしです。敬虔なキリスト教徒ですが、過去には刑務所暮らしもしています。
娘のアリソンはレズです。フランス・マルセイユに留学中でしたが、痴情のもつれから恋人かつ同居人のリナを殺害した罪に問われ、刑務所に入れられています。
娘と主人公は仲が悪いです。
主人公はフランスに移住し、娘との面会を繰り返しているうちに、娘から弁護士あての手紙を渡されます。
その手紙には、真犯人はアキームだと記されています。
主人公は弁護士に手紙を渡すものの、軽くあしらわれたので、自ら事件を調べることを決意します。
たまたまホテルで隣になったシングルマザー母子の協力を得ますが、アキームが住む場所は治安が悪く、逆に暴行されてしまいます。
父が勝手な行動を起こしたことにアリソンは激怒し、以降は面会謝絶となります。
主人公は解体工として仕事を続けつつ、母子との交流も深め、ほぼ家族同様となります。
ところが、子と一緒にサッカー観戦に行った先で、アキームを見付けます。主人公は子と一緒であるのにも関わらず、アキームを監禁します。そのアキームは、娘に殺害を依頼されたと告白します。
主人公は元警官にDNA鑑定を依頼します。
元警官は主人公がアキームを監禁していることに気が付き、母にそれとなく気づかせるように耳打ちします。
警察がアパートに踏み込みますが、母はアキームを逃がしていたので、ことなきをえます。もちろん母は激怒し、主人公は追い出されます。
元警官が持ち込んだDNAサンプルが決め手となり、娘は釈放されます。
そして二人でスティルウォーターに戻るのですが、二人ともすでに多くのものを失っていました。
という映画です。
いやあ、重いですね。
主人公は改心していますが、ときおり、地がでて暴走します。この暴走が、周りを巻き込み、母子との平穏な生活を崩してしまいます。
娘も父を嘘つき呼ばわりしますが、結局のところ自分もウソをついており、さらにそのウソが父を崩し、平穏な生活を破壊します。娘の心情も揺れ動き、自殺騒動を起こしたり、イスラムの教えに帰依して心の平穏を取り戻そうとします。
二人は故郷に帰り、一見すると元のさやに戻ったように見えます。
しかし、そのさやは単なる抜け殻です。
全てを取り戻したように見えて、全てを失ってしまう。それだけに考えさせられる映画かと思います。
構成としては設定が多くて状況を理解するまで時間がかかりましたが、空港のちょっとしたシーンや、地下室などこまかい伏線がラストに繋がる良質な映画かと思います。
製作費20百万ドルに対して、興行収入も20百万ドルなので赤字です。残念。ただ見る価値のある映画だと思います。
心に重く残るサスペンス映画を見たいひとのために!
【書評】眉村卓『なぞの転校生』 [書評]
眉村卓のSFジュブナイル小説の代表作のひとつです。
舞台は大阪の中学校です。
そこに容姿端麗、何をしても完璧な転校生がやってきます。
しかし、その転校生には妙なところがあり、雨を「放射能が含まれている」と極端に怖がったり、飛行機の爆音に驚いたり、科学文明を嫌ったりと、妙なところがあります。
となると、だいたいラストは見えてくると思います。
1965年から連載開始なので、時代背景もあるかとは思います。
主人公が何らかの困難と戦うことで物語を盛り上げていくのがよくあるパターンですが、本書では困難と闘うことはほとんどなく、むしろ苦しんでいるのは「なぞの転校生」であることを考えると、ちょっと物足りなく感じます。
主人公とセットの女子生徒もいるのですが、援助者でもなく物語を進める推進役でもなく、立ち位置があいまいなように感じました。
本書はNHKやテレビ東京でテレビドラマ化されています。
眉村卓の代表作のひとつを読みたいひとのために!
舞台は大阪の中学校です。
そこに容姿端麗、何をしても完璧な転校生がやってきます。
しかし、その転校生には妙なところがあり、雨を「放射能が含まれている」と極端に怖がったり、飛行機の爆音に驚いたり、科学文明を嫌ったりと、妙なところがあります。
となると、だいたいラストは見えてくると思います。
1965年から連載開始なので、時代背景もあるかとは思います。
主人公が何らかの困難と戦うことで物語を盛り上げていくのがよくあるパターンですが、本書では困難と闘うことはほとんどなく、むしろ苦しんでいるのは「なぞの転校生」であることを考えると、ちょっと物足りなく感じます。
主人公とセットの女子生徒もいるのですが、援助者でもなく物語を進める推進役でもなく、立ち位置があいまいなように感じました。
本書はNHKやテレビ東京でテレビドラマ化されています。
眉村卓の代表作のひとつを読みたいひとのために!