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【映画】LOOP/時に囚われた男 [映画評]

タイムループをテーマにした、2016年ハンガリー映画です。


LOOP ループ 時に囚われた男 [レンタル落ち]

LOOP ループ 時に囚われた男 [レンタル落ち]

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2017/05/26
  • メディア: DVD



主人公は死体から抽出したドーピング用の薬の運び屋です。
もちろん違法です。
主人公は薬を持ち逃げして、恋人と一緒に外国に逃亡しようとします。
ところが恋人から「妊娠している」と告げられ、パニックになります。
堕胎を強要したり、恋人が交通事故にあっても他人のふりをしたり、とにかく現実から逃げようとします。
もちろんマフィアは主人公を追いかけます。
が、逃げたりしているうちに、主人公は同じ時間をループしていることに気が付きます。
この辺り、微妙な物音の意味が繰り返しで分かったり、マフィアの行動が実は別の意味があったり、いかにもタイムループ物といった仕掛けが満載になっています。
この手の話は、時間を繰り返すうちに、主人公の行動が変化して、正しい結末へと導くのがお約束です。
本作でも主人公は何度も失敗しながらも、最後は「自分を殺す」ことでタイムループから抜け出すことに成功します。
マフィアも倒し、胎児も守り、円が閉じて終わります。
が、最後にまた最初に戻っていることが示唆されて映画は終わります。
素直な感想は、タイムループ物の伝統をきっちり守っているという感じです。
ただ、この手のタイムループは、主人公の何らかの行動・意思で時間を戻るパターンが多いですが、本作は主人公は普通の行動を取っているのにいつのまにかに戻っているのが工夫です。
エッシャーのだまし絵のような作品、と言えばいいでしょうか。
気軽に見て、楽しめる映画だと思います。

ハンガリーで大ヒットしたSF映画を楽しみたいひとのために!
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【書評】山田正紀『神狩り』 [書評]

山田正紀の商業誌デビュー作であり、第6回星雲賞日本短編作品部門を受賞作です。


神狩り (角川文庫)

神狩り (角川文庫)

  • 作者: 山田 正紀
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2014/09/08
  • メディア: Kindle版



主人公は情報工学者です。
ある遺跡で未発見の古代文字の調査にかかわるのですが、落盤事故で文字は消え、さらに謎の人物が現れては姿を消します。
主人公が古代文字を分析したところ、人間では扱えない言語であることを発見します。
これは神の言語ではないのか。
遺跡で登場した謎の人物は、実は神に協力して、神の証である古代文字を破壊する活動をしていた。
そして、主人公は神と戦う決心をする。

というのが大まかなストーリーです。
その後、多くの作品を発表する人気作家になるだけあって、リーダビリティは高いです。
wikiにも書かれているように「古代文字=神の文字」というワンアイデアストーリーで、あとは青春小説とも、冒険小説ともよめます。
登場人物が次々と死んでいくので、ハードボイド的な味わいとして読むこともできるかもしれません。
発表が1974年であり、日本SF初期を感じさせられる作品だと思います。

山田正紀のデビュー作を楽しみたいひとのために!
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