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【映画】ディパーテッド [映画評]

第79回アカデミー賞受賞作品ですが、好き嫌いが分かれるかもしれません。


ディパーテッド [Blu-ray]

ディパーテッド [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: Blu-ray



監督はマーティン・スコセッシ。主演はレオナルド・ディカプリオとマット・デイモンです。さらにマフィアのボスをジャック・ニコルソンが演じます。
ストーリーは、アイルランド系マフィアへの潜入捜査をする捜査官と、その逆にマフィアの子飼いから警察官となって捜査情報を漏洩する内通者の話です。
お互いに裏切り者がいることは把握しているので、虚々実々の駆け引きが始まります。
また、お互いに自らが属する組織のために、かなり危ない橋を渡ります。
潜入捜査官のことを知っているのは警部と巡査部長のみです。
内通者はボスから潜入捜査官を突き止めるよう命令されています。
そこで内通者は、「内通者を探す」という名目で潜入捜査官と接触する警部の追跡を命令し、結果として警部はマフィアに殺されます。
それに激怒した巡査部長は自ら辞表を叩きつけています。
後任になった内通者ですが、そこで潜入捜査官が報告した「ボスはFBIに情報を流してる」ことを知ってしまいます。
内通者はボスを切り捨て、ついにマフィアのボスは銃撃戦の末に死亡します。
潜入捜査官は警察署に戻るのですが、そこで内通者が目の前にいる人物だと知ります。
潜入捜査官は身の危険を感じ、手紙を懇意の精神科医に渡します。
そしてラストは……という感じのストーリーです。
うーん、この全員死んでしまうというラストは映画のタイトル通りではありますが、個人的にはあまり好きではありません。
アガサクリスティーのミステリはともかくとして、全員死んで終わる作品はチョクチョク見られます。なんか、結論から逃げている感じがしてしまうのです。全員死ねば、だれも勝たないので。
この辺りは好みの問題でもあるのですが。
途中の展開はドキドキしますし、面白いです。
製作費90百万ドルで、興行収入は2億89百万ドルと大ヒット映画となりました。

レオナルド・ディカプリオとマット・デイモンのダブルキャストを楽しみたいひとのために!
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【書評】眉村卓『ねらわれた学園』 [書評]

何度もドラマ化、映画化されたジュブナイル小説の金字塔です。


ねらわれた学園 (講談社文庫)

ねらわれた学園 (講談社文庫)

  • 作者: 眉村卓
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/10/09
  • メディア: Kindle版



舞台は中学校です。
進学校ですがいたずらが頻発し、その風紀を改めようと独りの女子生徒が会長職に立候補して当選します。
しかもこの女子生徒は超能力者で、反対する生徒に頭痛を起こしたり、跳ね飛ばしたりすることができます。
新会長は生徒会の決議を取り「校内パトロール」を開始し、些細な違反で生徒たちを指弾し、中学校を支配していきます。
主人公のクラスは生徒会に反発し、いよいよ対決へと向かいます。
本書は1973年作の古い作品ですが、何度も映像化されているだけ、ムチャクチャ面白いです。
読みやすさと物語に引き込む序盤の仕掛けが絶品です。
冒頭で、会長職になる女子生徒の手先である生徒がクラスで正論をぶって、軽い波乱を起こします。
ここで物語のテーマとキャラを説明しつつ、大問題が発生しそうな予兆というか、期待感を読者にもたせます。
ここまで文庫本でP6~P15なのでわずか9ページです。
ここから主敵である会長職が登場し、ファシズムで中学を支配し……と、怒涛の展開です。しかもキャラは絞り込まれており、不必要な人物がまったくいません。全員が、物語のなかで、それなりに役割をきっちり果たしています。
おそらくですが、ベースになっているのは1969年にアメリカで行われたサード・ウェーブ実験ではないかと思います。
高校教師のジョーンズが、ファシズムの恐ろしさを体験させるためにわずか4日間で完全に洗脳してしますのですが、途中までのストーリーは完全にこの流れです。
本書のラストについては、いま読み返すと甘い部分があるかもしれません。
それでも、傑作であることには変わりがないと思います。
蛇足ですが、当時の眉村卓はSFマガジンを中心に活躍していましたが、早川書房の原稿料は安く、編集者である福島正実はその穴埋めとばかりに、他社のジュブナイル小説の仕事の斡旋をしていたそうです。
だからかもしれませんが、当時のSF作家の多くはジュブナイル小説を手がけています。
後世の読者からすれば、ありがたい限りです。

ジュブナイル小説の金字塔を堪能したい人のために!
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