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【映画】女王陛下の007 [映画評]

ジョージ・レーゼンビーが1作だけ演じたジェームスボンドです。


007/女王陛下の007 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2021/09/29
  • メディア: Blu-ray



1作で降板した理由ですが、撮影時の遅刻や態度の悪さが要因だったようです。
レーゼンビーは身長が高くて、とても見栄えがします。
さて映画ですが、悪の組織スペクターの首領、ブロフェナルドをとらえる作戦の途中で、ボンドは犯罪組織のボス、ドラコの娘であるテレサと恋に落ちます。
ドラコからブロフェナルドの情報を得たボンドは捜査に向かいます。
ブロフェナルドはアルプスの山荘にある研究所で殺人ウィルスを開発し、それをばらまくと脅迫することで世界を屈服させようとしていました。
ボンドはブロフェナルドに捕まりながらも脱出し、スペクター壊滅に向けて動き出します。
というのがザックリストーリーです。
007シリーズにはスキーシーンがよくありますが、本作でもアルプスが舞台ということもあり、スキーでの追走劇がたっぷり用意されています。
ですが、時代もあったのか、ひたすら滑る感じでやや地味です。
工夫は一本足になるシーンぐらいでしょうか。
ロジャー・ムーア時代には潤沢にあったユーモアもそんなにありません。
殺人ウィルスを撒くために、アレルギー治療の名目で女性を集めて催眠術をかけているのですが、いやー、あまりに効率が悪い作戦でどうなのかと。
とかとか不満点が多いのですが、レーゼンビーのアクション(大げさすぎるにしても)の運動神経の良さは垣間見れますし、終盤の雪崩シーンは迫力があります。ミニチュアには見えないので、実際に雪崩を起こしたのかもしれません。
何作か続けていれば、レーゼンビースタイルの007ができたかもしれませんが、残念です。
製作費8百万ドルに対して興行収入は82百万ドルと10倍も稼ぎましたが、前後の作品と比べると見劣りしてしまいます。
一般的には大成功と言える成績なのですが。

貴重なジョージ・レゼンビーの007を堪能したいひとのために!
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【書評】豊田有恒『モンゴルの残光』 [書評]

SF第一世代、豊田有恒の第一長編です。


モンゴルの残光 (講談社文庫)

モンゴルの残光 (講談社文庫)

  • 作者: 豊田有恒
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/07/03
  • メディア: Kindle版



モンゴル帝国が世界を制覇し、白人が虐げられる世界。
主人公はタイムマシンを使って元代に戻り、白人を救うために歴史を改変しようとします。
構造としては、井上靖『敦煌』を髣髴とさせます。
最初は敵意を持ってモンゴル帝国に潜入するものの、そのモンゴル帝国で認められ、皇太子たちの人柄に引かれ、いつしか完全にモンゴル人として行動するようになります。
主人公はモンゴル人に惹かれる自分と、、未来の仲間を救いたいという二つの感情に引き裂かれそうになります。欧州を制覇することになる皇太子たちを害することなく、歴史を変えようとしますが、結果として何気ない一言が原因で歴史が大きく変わることになります。
SFですが、物語は実際の歴史をなぞります。
登場人物たちは思い切ったディフォルメがされており、善悪がはっきりしすぎているかもしれません。
ですが、エンターテイメント小説として楽しく読むことができました。
ラストの戦闘シーンは歴史に大きな影響を及ぼすものではありませんが、このシーンを持ってきたところに、歴史に対する作者の気持ちが詰まっているような気がします。

モンゴル帝国の数代に渡る壮大な歴史ドラマを堪能したいひとのために!
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