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【映画】007は二度死ぬ [映画評]

今度の007は日本が舞台です。


007/007は二度死ぬ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2021/09/29
  • メディア: Blu-ray



映画の公開は1967年で、米ソの宇宙開発競争が熾烈だった時期です。
なお、人類が月に到達したのは1969年です。
さて映画ですが、米国の宇宙船が謎の飛行物体に飲み込まれるという事件が起こります。
米国はソ連を一方的に非難しますが(時代背景ですね)、イギリスはその飛行物体が日本周辺から飛び立っているという情報をつかんでおり、007を日本に派遣します。
ボンドは敵の目を欺くために、香港で襲撃を受けて殺されたように見せかけます。
日本に潜入した007ですが、公安のトップ島田と部下のアキとともに、捜査を開始します。
黒幕はいつものようにスペクターで、目的は米ソの戦争を起こすこと。
007は島にある火山の火口湖が偽装された人工物だと暴き、スペクターの秘密基地に潜入します。
というストーリーです。
今回はアクションは少なめです。
見せ場としては大里化学工業での殺し屋との戦い、神戸港での乱闘と、Qの秘密兵器、小型ヘリを使っての空中での戦いぐらいでしょうか。
ラストシーンの殺し屋ハンスとの一騎打ち(大里工業の殺し屋とは別人)がありますが、どうも動きが悪くて、ハンスのかなり大げさな大振りに007が体をかがめて……というのは、うーんという感じです。
ハンスが度々登場して007を追い詰めていたのならともかく、最後にいきなり一騎打ちと言われてもねえ。見せ場をつくらないと、という感じだったのかもしれませんが。
全体的にアクションはアイデアが少なめです。
概ね2時間の映画ですが、1時間30分までのボンドガールは若林映子が演じるアキです。
いやあ、可愛いですね。
アキは毒殺されてしまい、残り30分は浜美枝が演じるキッシー鈴木です。
いちおう偽装結婚の相手という設定ですが、あまり意味がないです。ビキニで山を登ったり、ただたんに登場させて水着にさせたかった感が満載です。
ソ連の宇宙船もスペクターにより捕獲され、もちろんソ連は怒るわけです。
対立がエスカレートして米国が「ソ連と戦争を起こす」といって強引に宇宙船を打ち上げるのがタイムリミットなのですが、どうもいまひとつです。
事故かもしれないし、原因不明の段階で戦争となるのかなあとか思ってしまいますが、同時代ではないと、この緊迫感が伝わってこないのかもしれません。
冒頭で事件のテーマである宇宙船捕獲が描かれるのは定番ですが、次に007の活躍と思わせておいて銃殺されたふり、という構成はファンからしたら不満かもしれません。
日本国内で撮影されたので、様々な観光地がでてきます。
大里化学工業はニューオータニですし、火口湖は霧島山です。
途中で公安の忍者!が訓練をするシーンでは、姫路城が使われています。
日本人目線ではかなり荒唐無稽なシーンが多いですが、丹波哲郎が大活躍したり、若林映子がたくさん出演したりと、そういう意味では楽しめました。
製作費は前作を上回る9.5百万ドルですが、興行収入は大幅に下がって1億12百万ドルにとどまりました。残念。

日本を舞台にした007を楽しみたいひとのために!
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【書評】野田昌宏『レモン月夜の宇宙船』 [書評]

表題作は、野田昌宏の代表作です。


レモン月夜の宇宙船 (創元SF文庫)

レモン月夜の宇宙船 (創元SF文庫)

  • 作者: 野田 昌宏
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2021/09/16
  • メディア: 文庫



野田昌宏はSF作家の顔と、テレビ制作会社社長としての顔があります。
むしろ後者の方がなじみが深いかもしれません。
特に『ひらけ!ポンキッキ』は誰もが知る番組で、ガチャピンのモデルは野田昌宏です。
『料理の鉄人』も大ヒットしました。
本作は8つの短編が収録されています。
野田昌宏の文体ですが、無駄口体といいますか、けっこう余計なことをたくさん書いています。
『学術研究助成金』は、その無駄口がマッチしていて、コミカルな短編に仕上がっていると思います。
ただ、当時の雰囲気もあるとは思いますが、無駄口がストーリーを分かりにくくしている面もあるかと思います。
好みが分かれるかもしれません。

野田昌宏の代表作を読みたいひとのために!
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