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【映画】007/私の愛したスパイ [映画評]

1977年公開の007シリーズ10作目で、製作費がジャンプアップです。


007/私を愛したスパイ [Blu-ray]

007/私を愛したスパイ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2021/09/29
  • メディア: Blu-ray



映画の背景として、米ソの緊張緩和(デカント)が進んでいた時代です。
物語は英ソの潜水艦が突如として消失したことから始まります。冒頭に事件を持ってくるエンタメ映画の王道スタイルです。
緊急事態に対応するため、英ソの敏腕諜報員が呼び出されます。英国はもちろん007で、ソ連はボンドガールとなるトリプルXです。
007は呼び出し時に襲われ、敵諜報員のひとりを殺害しますが、これがトリプルXの恋人でした。
同時に潜水艦の位置を特定する装置の買取依頼が英国にきます。
007はカイロにとび、そこからイタリアの海洋学者までたどり着きます。
この海洋学者が黒幕で、狙いは核爆発を起こして地上を壊滅させて、夢の海中国家を建設することです。
いわば狂信者です。
米国の潜水艦に乗り、海洋学者が建設したタンカーに接近しますが、これが敵の罠でした。
タンカーは近づいた潜水艦の電子機器を麻痺させる能力があり、動力を喪失した潜水艦を捕獲する能力があります。
007とトリプルXは捕まりますが……というストーリーです。
製作費が前作より倍増した効果か、セットもしっかり作られており、ときおりミニチュアも挟みながらの映像が迫力満点で面白かったです。
敵の殺し屋を演じるのはリチャード・キールですが、218㎝の大男で、インパクトは十分です。ただ、動きがモサモサしているのが難点です。
ちなみにキャラ名はジョーズで、必殺技は鋼鉄の歯で噛みつくとなれば、もう、1975年公開のあの映画しか思いつきません(笑)
大作らしく見せ場はたくさんです。
エジプト・カイロとイタリア・サルディア島と旅するのはもとより、スキーでの追跡劇にヘリまで使ったカーチェイス、さらには潜水シーンと、エンタメ大作らしいサービス精神にあふれています。
Qの秘密兵器もいつも以上の大放出です。
また、エジプトの観光名所を出すためか、ルクソールのカルナック神殿や、アブシンベル神殿もでてきます。
特にアブシンベル神殿はほんの一瞬ですが、このために撮影したのかあと、贅沢な使い方です。
ストーリーとしてはいつもの活劇で、冒頭で007がトリプルXの恋人を殺しているのですが、それがあまり影響せず、最期にはボンドがトリプルXを助けてイチャイチャします。もうこの展開はお約束ということで。
製作費は前作の倍の14百万ドルで、興行成績も1億85百万ドルと倍になっています。

007シリーズの面白さが詰まった映画を楽しみたいひとのために!
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【書評】早坂隆『昭和史の声』 [書評]

著者が取材してきた「声」の総集編みたいな本です。


昭和史の声

昭和史の声

  • 作者: 早坂 隆
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2020/08/04
  • メディア: 単行本



すでにどこかに書いた内容の再録が多いです。
それだけに、話題は多岐に渡り、内容も凝縮されています。
パラオ、台湾、韓国といった日本統治下の話もあれば、シベリアを始めとする抑留の話もあります。
特攻隊、空襲と終戦、ソ連の侵攻、東京裁判もあります。
こうした本で大事なのは、忘れ去られてしまう小さな事件を掘り起こすことだと思っています。
東京裁判といえばA級が有名ですが、B級C級も酷い裁判が多く、心あたりがないどころが現場にもいないにも関わらず、有罪判決を受け、次々と処刑されました。
奇跡的に助かった元受刑者の話には、この裁判の酷さが凝縮されています。
シベリア抑留は有名ですが、カザフスタンやモンゴルにも抑留されました。
こうした消え去りつつある事実、体験者たちの声を収集・保存していくことは大事なことだと思います。

昭和史の声を聞きたい人のために!
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