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【映画】007/ワールド・イズ・ノット・イナフ [映画評]

007シリーズ19作目で、五代目JB、ピアース・ブロスナンの第3作です。


007/ワールド・イズ・ノット・イナフ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2021/09/29
  • メディア: Blu-ray



今回の主敵はスパイ映画の王道らしく、世界を股に暗躍する大物テロリストです。
彼の目的は旧ソ連邦のカザフスタンで廃棄される核弾頭の奪取です。
さて映画はいつもように活劇から始まります。
ジェームスボンドは強奪されたMI6の機密文書を取り戻すために使ったアゼルバイジャンの石油王キング卿の現金の回収に成功します。
しかし、その現金に爆薬が仕組まれており、キング卿が爆死します。
犯人を追うジェームスボンドですが、水上でのチェイスの末に、犯人を気球に追い詰めます。ところが、寸でのところで自殺されてしまいます。
真犯人はレナードだと明らかにされますが、キング卿の娘であるエレクトラが危ないとして、ジェームスボンドが派遣されます。
エレクトラはレナードに監禁されますが、父がMI6に止められて身代金を払わなかったばかりに、自力で脱出した過去があります。
スキー中に今度はパラモーター部隊に襲われ、今度は雪上での追跡劇になりますがなんとか交わします。
その後、ジェームスボンドはレナードをカザフスタンの核施設で発見しますが、核弾頭を奪われ、ジェームスボンドは女性科学者クリスマスの助けを借りて何とか脱出します。
そこでレナードから、エレクトラとは特別な関係であることを明かされます。
エレクトラはストックホルム症候群により、レナードに恋心を抱いていたのでした。
ここがミッドポイントです。
レナードとエレクトラの目的は、手にした原子力潜水艦と核弾頭でメルトダウンを起こして、他社の石油パイプラインを潰すこと。
そうすれば、石油利権で大儲けできます。
ジェームスボンドとクリスマスは、原子力潜水艦に向かいます。
というのがざっくりとしたストーリーです。
毎回、新しいアクションシーンを見せてくれる(これを考えるのが大変だと思います)シリーズですが、本作の目玉は水上チェイスと雪上チェイスです。
毎度の新兵器も、今回は特殊モーターボートで、小型ながら速度もあり、まるで木の葉のように水上を滑っていきます。
おまけに地上にでてレストランを破壊しながら突っ切ったり、かなり派手な演出も見せます。
またヘリに巨大カッターを取り付けた部隊(カナダ等で実際に送電線路に近づく木々の枝払いで使われています)が、建物をバリバリ破壊しながらジェームスボンドたちを襲うシーンも迫力があります。
もちろん007シリーズお約束の、女性とのイチャイチャシーンも多数あります。次々と現れる女性に、軒並みお盛んなことろを見せます。
この辺りは水戸黄門の印籠みたいなものなので。
ストーリーも練られており、主敵を明らかにしつつも、エレクトラがアクションシーンの後で裏切り者だと見せることで意外性を出しています。主敵の本当の狙いも、ここでようやく繋がってきます。
細かい設定も、このエレクトラの行動に辻褄を合わせるために、考え抜かれています。
主敵のレナードは脳の損傷で痛みを感じない設定で、前半はこの設定のおかげでかなり不気味なシーンを見せてくれます。また、ときおり感覚がない悲しみを強調するシーンもあります。
ただ、最期の戦いでこの不気味な設定が活かされていないのが残念です。
製作費は前作を超える1億35百万ドルで、興行収入も前作を上回る3億62百万ドルを稼ぎました。

007シリーズのファンのために!
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【書評】早坂隆『指揮官の決断~満州とアッツの将軍 樋口季一郎~』 [書評]

ナチスに追われたユダヤ人を満州に逃し、終戦直後に占守島に攻撃してきたソ連軍に反撃命令を下した指揮官の話です。


満州とアッツの将軍 樋口季一郎 指揮官の決断 (文春新書)

満州とアッツの将軍 樋口季一郎 指揮官の決断 (文春新書)

  • 作者: 早坂 隆
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/06/18
  • メディア: 新書



樋口季一郎は淡路島で誕生しました。
家業の傾きとともに陸軍に入り、陸軍大学校卒業後はロシア通としてインテリジェンスの世界に入ります。
海外経験も多く、当時のインテリが辿った道を思い起こします。
ハルピン特務機関長在任時代にオトポール事件が発生します。
これはナチスから逃れてきたユダヤ人たちが満州国境の町、オトポールで足止めされていた事件です。
ドイツとの軋轢を恐れた満州国外交部が入国をしぶっているところ、樋口季一郎が満州国外交部に働きかけ、満鉄総裁の松岡洋右とも協議して特別列車を運行させて、多くのユダヤ人を救いました。
この行動は親ドイツを深める陸軍内で問題となりましたが、参謀総長だった東條英樹に道理を説いて黙認させたため、懲罰を科されることはありませんでした。
戦後、悪く言われる東條英樹ですが、道理を説けば人情を通す一面があったようです。
樋口季一郎が東條英樹を評して、「善悪でいえば善、賢愚でいえば愚」というのは、当人をよく知るひとだけに、肉感のある言葉だと思います。
その後、北部軍司令官としてキスカ島は撤兵に成功したもののアッツ島を見殺しにせざるを得なくなり、苦しい日々を送ったようです。
戦直後に占守島に攻撃してきたソ連軍に反撃命令を下します。このときの日本軍の奮闘のおかげで、日本はソ連軍に分割占領されることを免れました。
有名な将軍ではありませんが、その功績は大きいと思います。

歴史に埋もれがちな樋口季一郎の生涯を知りたいひとのために!
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