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【書評】松井章『環境考古学への招待~発掘からわかる食・トイレ・戦争~』 [書評]

小さなヒントから、昔の環境を浮き彫りにします。


環境考古学への招待―発掘からわかる食・トイレ・戦争 (岩波新書)

環境考古学への招待―発掘からわかる食・トイレ・戦争 (岩波新書)

  • 作者: 松井 章
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2005/01/20
  • メディア: 新書



考古学の進歩は目覚ましいです。
貝塚から発見された小さな骨から魚の種類を同定し、その大きさから漁獲方法の進化までたどることができます。
また平安時代のトイレの遺構では、発見された寄生虫の卵から寄生虫の種類を同定し、そこからウシかブタが食べられていたことを証明します。
驚いたのは、アメリカで行われた古戦場の発掘です。
1876年にインデアンとの戦いで騎兵隊が全滅した事件があったのですが、その古戦場から薬きょうを始めとする遺品を拾い、位置をおとし、さらには線状痕を分析することで銃器の数まで推定していきます。
その結果、インデアンの主要武器が弓ではなく銃器であったこと、さらには戦闘の推移までも明らかになります。
また、7400年前の墓地(ウィンドオーバー遺跡)で脳の化石が見つかった話も驚愕です。
2005年の本なので、学説は進化しているかもしれませんが、とても参考になりました。

考古学にまつわる新鮮な驚きを得たいひとのために!
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