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第64期王位戦挑戦者決定リーグ最終一斉対局 [将棋]

全局中継されるのは嬉しい限りです。

〔主催者HP〕
http://live.shogi.or.jp/oui/

[紅組]
 優勝はと豊島将之九段と羽生善治九段に絞られていますが、負けるとリーグ陥落もある大一番です。永瀬王座は前局で羽生九段相手に最後の最後で逆転した星が大きく、石井健太郎六段に勝てば残留の目が出てきます。
徳田拳士四段と服部慎一郎六段のリーグ陥落決定同士の一戦は消化試合に見せて、実は残留者決定に関わってきます。
徳田四段が勝利した場合、仮に3勝2敗で3人が並んだとしてもリーグの規定で前期成績が優先されて羽生九段の残留、永瀬王座の陥落が決まります。
 それぞれ影響のある対局結果は以下のようになりました。

●豊島将之九段(残留)  対 (優勝)羽生善治九段○ 
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/64/oui202305080601.html

○石井健太郎六段(陥落) 対 (陥落)永瀬拓矢王座●
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/64/oui202305080501.html

服部慎一郎六段(陥落) 対 (陥落)徳田拳士四段
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/64/oui202305080401.html

一番の注目だった豊島―羽生戦は後手から先攻する角換わりとなり、中盤以降は攻めと守りが入り乱れる難解な局面となります。終盤になると評価値も激しく上下しますが、最後の最後で抜け出したのは羽生九段でした。歩頭角に歩頭桂の2発で豊島九段を打ち取り、これで見事紅組優勝です。恐るべし52歳です。
自身の残留があかる永瀬拓矢王座ですが、飛車を2枚重ねた8一飛車がすっぽ抜け気味で、以降は入玉こそ果たしたものの大駒4枚を取られて点数が足りずに無念の投了。2勝3敗で陥落が決定です。
服部六段と徳田四段は千日手指し直しとなり、ブログ記事を書いている時点ではまだ決着がついていません。


[白組]
 白組は佐々木大地七段が快走し、優勝は佐々木七段か3勝1敗の渡辺明名人に絞られています。佐々木七段は最終戦に勝利すると全勝で優勝決定です。渡辺名人は最終戦に勝ってキャンセル待ちです。
 リーグ残留もこの2名で決まっています。増田康宏七段と岡部怜央四段の対戦は、順位をめぐる争いです。
 さて優勝のかかる一番の結果は……

●池永天志五段(陥落) 対 (優勝)佐々木大地七段○
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/64/oui202305080101.html

○渡辺 明名人(残留) 対 (陥落)冨田誠也四段●
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/64/oui202305080301.html

○増田康宏七段(陥落) 対 (陥落)岡部怜央四段●
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/64/oui202305080201.html

となり、白組優勝は全勝の佐々木七段となりました。相掛りの熱戦から評価値的には押されている場面もありましたが、タイムマネジメントもうまく中盤で逆転。見事な勝利でした。
渡辺名人は冨田四段の四間飛車にミレニアムで対抗して快勝。調子を上げてきましたが、全勝の佐々木七段には届かず残留という結果になりました。

これで王位戦挑戦者決定戦は、羽生善治九段と佐々木大地七段の対戦となりました。
5月18日の対局がいまから楽しみです!

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【児童文学】齊藤想『ししおどし』 [自作ショートショート]

これは「5分ごとにひらく恐怖のとびら 百物語」に応募した作品です。
テーマは5つから選ぶことができて(1憤怒・憎悪、2邪悪・悪意、34嘆き、不吉、5畏怖・恐れ)、本作では1憤怒・憎悪を選択しています。

―――――

『ししおどし』 齊藤 想

 とにかく郷田哲也は急いでいた。
 郷田は社会人一年目の新人サラリーマン。仕事は街の不動産屋。初めて大きな仕事をまかされて気持ちははずむが、相手との約束の日に寝ぼうする大失態をしてしまった。
 相手は、昔ながらの大邸宅に独りで住む渡辺権太という老人だ。渡辺老人は相続にそなえて自宅を売却し、老人ホームに入りたいという希望を持っている。
 郷田が渡辺老人の担当になったのは、とにかく渡辺老人の話が長いからだ。若いころは科学の教師をしていたらしく、ウンチクを語りだしたら止まらない。
 つまり、厄介者を押しつけられたのだ。
 そうしたおっくうさが、目覚まし時計のセットを忘れた原因かもしれない。
 このままでは約束の時間に遅れてしまう。 
 郷田が一分でスーツに着替えると、外に出て、自転車を全力でこいだ。
 郷田は近道をするために、いつもは通らないせまい道に自転車を向ける。道の中ほどによたよた歩く小太りのおばさんがいた。
 ギリギリ横を抜けるかな。そう思って、ペダルに力を込めたときだ。
 おばさんは貧血になったかのように、ふらついた。自転車のハンドルがおばさんのお腹にぶつかる。柔らかい中に、固い感触があった。
「だ、大丈夫ですか」
 郷田は自転車をおりて声をかけた。おばさんはお腹を押さえて苦しんでいる。ケガはなさそうだ。
「ごめんなさい。ぼく、急いでいるので、何かあったらここに連絡してください」
 郷田は名刺を渡すと、急いでその場を立ち去った。
 約束の時間にはギリギリ間にあった。
 渡辺老人の家の前で息をととのえ、汗をふき、何事もなかったのように門をくぐる。
「おお、よく来たな。いつも時間とおりで、たいしたものだ」
 渡辺老人は玄関で待っていた。
「今日も渡辺様のお話を聞きたくて」
 おせじも慣れたものだ。
 渡辺老人の家は整理が進んでいるようで、大きな家財道具は運び出され、渡辺老人自慢の骨とう品もきれいに無くなっている。
 部屋が広くなったせいか、庭にある”ししおどし”がよくひびく。
 ”ししおどし”とは、立派な庭によく置いてある装置で、竹の筒に水が流れこみ、重くなると竹の筒がお辞儀をして、戻るときにカラーンという音をだす仕組みになっている。
「このししおどしは、特別なしかけがしてあってな。テコの原理の応用なのだが……」
 郷田は、渡辺老人の話を聞いているうちに、自転車でぶつかったおばさんのことをすっかり忘れていた。おばさんに渡したのはイザというときのために作ってある偽名刺で、名前も電話番号もデタラメだ。
 その場さえしのげればいい。いままでもこうして上手く切り抜けてきた。
 渡辺老人は、急に郷田の手首をつかんできた。老人の手は氷のように冷たかった。
「つまり、テコの原理を理解すれば、弱い力でも強い力を押さえつけることができる。例えばこのように」
 老人の細腕が、軽く添えられているだけななのに、郷田は一歩も動けない。
「すごいですねえ」
 郷田は話の調子を合わせたつもりだが、急に渡辺老人の顔がけわしくなった。
「私の娘は長らく子供ができなくてなあ、ようやく妊娠したと思ったら、暴走してきた自転車にお腹をぶつけられた。おそらく流産するだろう。ぶつけられた相手は、山田太郎と書かれた名刺を残して立ちさった」
「そ、それはひどい話ですね」
 郷田の首筋から冷や汗がにじみでる。郷田がおばさんに渡した偽名刺と同じ名前だ。
「テコの原理はすごい。小さな力が何倍にもなる。人の恨みも同じだ。ひどいことをされれば、恨みは何倍にも大きくなる」
 老人の手が郷田の首に伸びる。このままでは殺される。郷田は慌てて家から飛びだすと、自転車にまたがり、全力で駆けだした。

 不動産屋の社長は、夫婦で社用車を運転していた。
「あなたも悪い人ねえ。渡辺老人が急死したことを郷田君に伝えないのだから」
「いやいや、ついうっかりな。けど、郷田君も渡辺老人の家がもぬけのからで驚いているころだろう。もしかして、渡辺老人の幽霊と長話をしているかも」
「やあねえ、そんなことがあるわけがないじゃない。この令和の時代に」
 そのとき、見通しの悪いせまい道から、自転車が飛びだしてきた。
 一瞬のあと、激しい衝突音。

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最近の日常【令和4年5月上旬】 [日常]

〔4月の株式状況〕
先月のSVB破綻に端を発した株価暴落から半分ぐらいもどす。
とはいえかなり自分の持ち株の値動きは激しく、ぐぃっと上がったと思えば、ぐぅっと下がる。
底値からはじわじわ上がっているけど、なんとなく、足元は弱い印象です。
チョコチョコあがって、どーんと下がる。またチョコチョコあがって、どーんと下がるの繰り返しといいますか。
下がったときは買うチャンスとも言えますが、かといって積極的に買いたいほど下がっているわけでもない。
中途半端な感じなので、もうしばらく様子見です。なんとなく、様子見が長くなりそうな気もしますが。

〔NTS総合弁護士法人からしつこく電話がくる話〕
複数の電話番号からかかってきて、出ると自動音声のメッセージが流れる。
まあ詐欺だろうと思って無視していると、やっぱりまた掛かってくる。おまけにショートメッセージまで送信してくる。だいたい、自動音声で連絡する弁護士など聞いたことがない。
弁護士会で検索すると、当該法人は実在しており、弁護士登録もされている。
ただネット上で見つけた体験談だと「以前の方の番号でした」とかで逃げるか、それかリアル債権回収か、といった感じのようです。
だいたい自分には未払いなどないので、何らかの書面がでてくるまでガン無視しようと思ったら、また自動音声の電話が掛かってきた。
しつこいので聞いてみたら、”こちらNTS総合弁護士法人です。(○○会社名)の債権の関係で連絡しました。○○様ですか”みたいな内容だった。
無関係の場合は0を押せというので0を押して待っていると、オペレーターと名乗る若い女性がでてきた。
「○○様ですか」というので「無関係ですし、まったく知りません」と答えると、ネット情報と同じように「以前の方の番号だったようですね」と逃げようとする。
おいおい、ちょっと待て。この電話番号はずっと変わっていない。最低でも18年以上使っている。たぶん20年は超える。少なくとも債権時効の期間よる遥かに長い。
そんなバカな話があるわけがない。
かなり強い口調で誰からどんな経緯でこの番号を知ったのか問い詰めたところ、「債権回収を請け負っているだけです。二度と連絡しません。失礼いたします」と、消え入りそうな声を残して電話を切られた。
こんな雑な弁護士の仕事はあるのだろうか? まともな弁護士法人なのだろうか?
あまりに腹が立ったので、北村晴男チャンネルに質問してみた。
採用されたらラッキーということで。
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