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第81期名人戦第2局(渡辺明名人VS藤井聡太竜王) [将棋]

藤井竜王の先勝で迎えた第2局です。

〔中継サイト〕
http://www.meijinsen.jp/

将棋界のビックタイトルといえば竜王戦と名人戦ですが、囲碁界では棋聖戦、名人戦、本因坊です。
特に本因坊は江戸初期から続く名跡で、現代囲碁界におけるもっとも古いタイトル戦です。
それが来季から大幅に縮小して、三大タイトルから転落するニュースに驚きました。
 賞金額2800万 → 850万
 二日制7番勝負 → 一日制5番勝負
 リーグ戦 → トーナメント戦
https://www.nihonkiin.or.jp/news/release/79.html
主催の毎日新聞社の経営難が背景にあることは、予想が付きます。協賛として大和証券グループがついていますが、将棋界と比べると協賛企業が少ないため、スポンサー集めに苦慮しているのかもしれません。
囲碁は始めると非常に面白いゲームなのですが、かなりの棋力がないとどちらが優勢か分からないという難しさがあります。入口のハードルが高いです。
「見る将」は成立しても「見る碁」を増やすのは厳しいのかな、というのが実感です。
若くて優秀な女流囲碁棋士がたくさんいるのですから、囲碁界は新しいファン層を増やすチャンスだと思います。
将棋界は佐藤康光会長が勇退します。
新しい会長は未定(羽生善治九段が最有力)ですが、いままでの流れを引き継ぎ、ぜひとも新しいスポンサー、新しいファン層を獲得する努力を続けてほしいと思います。
名人戦が一日制五番勝負のトーナメント戦になったら寂しいので。

〔棋譜〕※棋譜は徹底解説!将棋の定跡 様より
https://www.youtube.com/watch?v=jHQ8CJr3ljE

ということで、将棋です。
藤井竜王は先手だと角換わりを目指すので、後手渡辺名人の戦形選択に注目が集まりましたが、本局では角換わりを受けずに雁木模様で進めます。
対する藤井竜王は3手角です。通常の4手角より手得しています。
最終的に渡辺名人は高美濃になり、端攻めを見せたところで藤井竜王が本格的に開戦します。
まさにねじりあいという感じで、どちらにも勝機がある熱戦です。
藤井竜王の誤算は渡辺名人の3四金と力強い受けに角切りの猛攻に成算が持てなかったこと。
少し形勢が良くなった渡辺名人の誤算は次に飛車角両取りがかかり2四香車が先手にならなかったこと。
お互いに誤算がありつつも互角のまま迎えた終盤戦。71手目の藤井竜王の王手に、渡辺名人が3三玉と逃げたのが致命的な悪手で、ここで一気に悪くなったようです。
その前の手に44分考えており、いかにも先手の1筋が重い形なので、読みの本線だったと思います。
ただ、ここは同香車なら難しかったようです。
この直後の藤井竜王の手が素晴らしく、銀を取りながら成香を寄せる味の良い手や、2二角等といった王手を選ばずに、じっと2六歩で後手は痺れました。
これはも竜王を褒めるしかありません。
優勢になってからは藤井竜王が一気に決めました。87手まで藤井竜王が開幕2連勝を果たしました。
手数こそ87手ですが、名人戦に相応しい濃厚な将棋だったと思います。

名人戦第3局は、5月13日(土)、14日(日)に、大阪府高槻市「高槻城公園芸術文化劇場」で行われます!

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【書評】南原詠『特許破りの女王』 [書評]

第20回このミス大賞・受賞作で、弁理士が主人公という意欲作です。


特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来 (宝島社文庫)

特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来 (宝島社文庫)

  • 作者: 南原詠
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2023/02/07
  • メディア: Kindle版



弁理士とはなじみが薄いですが、特許の専門家です。
主人公は元々特許訴訟をチラつかせて大金をふんだくる仕事をしていましたが、いまは逆に特許侵害の訴えからクライアントを守る側にいるという設定です。
まず冒頭で軽い特許侵害トラブルが発生し、ほぼ解決させます。
ヒーロー物お約束の、冒頭の活躍でキャラ紹介という展開かと思います。
次の事件が本番で、人気Vtuberが使っている機材が、特許侵害のため使用差し止めの警告を受けるところから始まります。
徐々に警告者の目的が真の目的が判明し、特許権者と専用実施権者との関係性も見えてきます。
そして、意外な方法での解決へ、という流れです。
弁理士が主人公という設定が斬新だと思います。そこに専門的な知識がどんどんでてきて、経済小説のような味わいもあります。
サブストーリーがほとんどなく、本筋だけで突き進むという分かりやすさもあります。

個人的にはキャラの性格がいまひとつかなあ、という感じがします。
毒のあるキャリアウーマン系なのですが、元悪役の割には毒が薄く、設定が活かしきれていないような気がしました。
厳しいVtuber業界の争いも背景にあるのですが、その部分をサブストーリーとして独立させて欲しかったなあと思いました。
Vtuberたちの心情や生活を濃密に書き込んだ方が、ヒロイン役であるVtuberにもっと感情移入できたかも。

特許ネタで何作も書けるのかどうはか分かりませんが、新しい視点なので、次回作にも期待したいと思います。
少し変わった世界をのぞきたいひとのために!
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創作状況【4月下旬】 [ぼくの公募状況]

ここしばらくSO-NETブログの本カテゴリで1位をキープしています。ありがとうございます。これからも読まれるブログを目指して頑張ります。

【第187回のメュー】
◆こんな公募に応募しました(第19回坊ちゃん文学賞の巻)
◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第18回)
◆おまけのもう1作
◆公募情報数点
 今回のテクニックは遠回しに伝える技です。
 次回発行は5月5日です。メルマガは無料なので、ドンドン登録してください!
https://www.arasuji.com/mailmagazine/saitomagazine/


【ショートショートガーデン】
今回も小説でもどうぞ「学校」のボツネタです。
〔キツネの学校〕
https://short-short.garden/S-uCTuLq


【小説でもどうぞ】
4月テーマ「学校」の2作目を推敲する。うーん、さすがに今回はダメそうです。奇妙な話ではあるけど、いい話にはなっていない。
最後まで推敲して、とりあえず自分の中のノルマとなっている2作応募しました。
W選考委員版は次回は「魔法」ですね。いろいろな魔法がありそうです。とりあえず1作目を書く。眉村卓のイメージだが、本家には遠く及ばず。ただ、自分の中ではよくできた作品だとは思う。公募には向かない系統なのですが。
次は通常版の5月テーマ「祭り」をひとつ書いて、魔法にもどるか。W選考委員版の締切まであまり時間がないんだよなあ。


【yomeba!】
結果と次の公募待ちです。
次回はもうちょっとじっくり考えます……。


【星新一賞】
第10回受賞作を順番に読んでいきます。
・旭化成ホームズ賞『春発つ日』青庭遠
親権争いに敗れた母親が、火星に移住する息子との最後の思い出に、サーカスを見に行く話です。
これ、文章が卓越して上手いです。星新一賞の中でも、歴代トップクラスではないかと思います。
火星とか遺伝子操作とかSF風の味付けはされていますが、基本的には純文学系統で、描写と心理描写で読ませる作品です。
例えばサーカスが始まるところの描写。まず中心のピエロに目線が行く、そこから少し間を持たせてからピエロの動きに合わせて、視線を動かしていく。視覚だけでなく聴覚の描写もあり、さらに適度に観客やキャラたちの心情を挟みこむ。
このバランスが絶妙です。
母親は息子の心の穴を埋めようとしますが、実は助けを求めていたのは母親だった。そのことに母親は気が付き、子供の成長を誇らしく思うとともに、母親も前を向こうと決意します。
こうした親子の成長を、サーカスの観劇というワンシーンで見事に表現しています。掌編として隙がありません。
SF要素が少ないため評価を落としたのだと思いますが、ジャンルにとらわれなければ、素晴らしい作品だと思います。


【坊っちゃん文学賞】
第19回の受賞作を順番に読んでいきます。
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/shisei/machizukuri/kotoba/bocchan.html#cms19thjushousakuhin
・佳作『メトロポリスの卵』石原三日月
設定がとても面白いです。
役目を終えた都市が、最後の力を振り絞って卵を産む。その卵が落ちた場所が、新しいメトロポリスとなる。そのメトロポリスは、少し時代が進んでいる。
巨大な都市を卵にしてしまう転換のアイデアですが、この組み合わせ、設定はなかなか思いつかないと思います。
ただ、ラストが強引かな、と思います。新しい都市に目的の装置があるのは必然ではありませんし、そもそも、その場所をどうしても移動したくない理由が弱いです。
冒頭で庭で朝食を食べるシーンがありますが、そこでの喜びを視覚だけでなく、触覚、嗅覚、味覚等をフル動員した描写になっていたら、すっと繋がったかもしれません。
もったいない、というのがぼくの素直な感想ですが、素晴らしい作品だと思います。


【NIIKEI文学賞】
締切は5月31日、制限文字数400~800字。
推敲もしているので、あとは投稿直前にもう1回見直すだけ。ただねえ、なかなかテーマ「にいがた」で、「にいがた」をアゲる作品になっていないので、正直失敗作。
うまいアイデアが浮かんだら、また考えますが……。
https://takeaction.blog.ss-blog.jp/2023-02-16-3


【ラストで君は「まさか!」と言う】
2作目を書きましたが、1200字もない。制限文字数4000字なので、さすがに短すぎるかも。まあいいや。あともう1作ぐらい書いて選びたい気分。
制限文字数4000字、締切は5月31日です。
https://takeaction.blog.ss-blog.jp/2023-03-11


【ひらづみ文学賞】
締切が7月31日。
創元SF短編で落選した作品を出す予定、ということで、忘れないためのメモ書きです。はい。
https://takeaction.blog.ss-blog.jp/2023-03-15-1


【超ショートショート】
2022受賞作はこちらから読めます。
https://www.ehime-np.co.jp/online/information/short_short/prize2022.html
・小学生低学年の部『キセキのシンブンシ』本多きほ<テーマ「新聞紙」>
 シンブンシが回文であることに着目し、回文である場所に瞬間移動できるというアイデアを組み合わせたのが素晴らしいです。いやあ、この発想は思いつきません。
 タイトルは『キセキのシンブンシ』ですが(キセキも回文)、この作品自体がキセキのようなものです。脱帽です。


【その他モロモロ】
・エコカレンダーの3句目を考えた。季節感はあるけど季語がない。5月26日締切です。
・おーいお茶新俳句はツバメ3句で応募しました。楽しかった。10月下旬発表。
・第9回朝礼川柳は落選しました。後日、TOP100の発表もあるそうです。
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