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【映画】ドラえもん のび太と空の理想郷 [映画評]

「欠点があっても自分らしさがいい」というテーマが明確な佳作だと思います。

〔公式サイト〕
https://doraeiga.com/2023/


映画ドラえもんの42作目です。
物語は、出木杉君がトマスモアのユートピアについて説明するところ始まります。
よく「映画になると出木杉君は隠される」とネタにされますが、しっかりと冒頭で登場します。
しかし、そのあとはやっぱり隠されます。キャラバランス的にやむを得ないです。出木杉君残念。
いつものメンバーでユートピア目撃談の真偽を確かめに様々な時代に飛びますが、ユートピアは現れません。
やっぱり見まちがいじゃん、と思ったところで、ユートピアが登場します。
そこではパーフェクトネコ型ロボットがいて、パーフェクト小学生がいて、誰もが心優しいパーフェクトな人間になれる世界でした。
ところがのび太は、のび太らしく、まったくパーフェクトになれません。
そこに謎に侵入者が登場し……
というストーリーです。
大人なら察しがつくように、ジョージオールウェル『1984』がベースのストーリーです。
本作の影響は本当に大きいです。
冒頭に大きな事件が起こるわけではないので前半がややまったりしていますが、テーマが明確になってからは敵と味方が入れ替わったり、脱出直前で捕まったり、きっちりと脚本が書かれています。
解決したと思った後でも、次から次へと危機が訪れるところも、手慣れた脚本家という感じがします。
ミッドポイントは、のび太とドラえもんがユートピアを脱出しようと決意するシーンです。この瞬間、世界観がひっくり返ります。
そこからはどんどん前半の伏線が回収されていきます。
露骨な伏線もありますが、中には別の目的と思わせておいて実は伏線だったと後で気が付くシーンもあり、なかなかうまいです。
エンタメでもあり、鑑賞した子供たちが元気づけられる、佳作だと思います。

映画ドラえもんを楽しみたいひとのために!
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