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【書評】小林一哉『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘』 [書評]

川勝知事の「命の水」の嘘を暴くレポートです。


知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘

知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘

  • 作者: 小林一哉
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2022/08/08
  • メディア: Kindle版



リニアは全路線のほとんどがトンネルで、静岡県については大井川の上流の山間部、地下400mを約10㎞ほど通ります。
トンネルを掘ると湧水がでるのですが、その湧水は「命の水」であり、大井川に全量戻さない限りトンネル工事を認めないというのが川勝知事の立場です。
本書でも述べられていますが、大井川は多数の電力発電用ダムがあります。
上流で取水された発電用の水は、発電後に下流で戻されます。
そのため中流域については流量が乏しい状況となっていますが、大井川全域の水資源開発という意味では余裕があり、水枯渇という状況にはなっていません。
県用水は市民に直接配水するのではなく、市町村に水を配水し、それに各市町村が自主水源を加えて配水します。
そのため仮に大井川水系の送水量が減っても、市民への配水にはほぼ影響がありません。
知事は過去に何度も節水要請があったことを発言していますが、実はシステム上節水要請になっただけで、水には余裕がありました。しかも県水道からの送水が5%減っても、各市町村には自主水源があるので市民への影響は皆無というのが実態です。
著者は静岡新聞元記者であるだけにこの問題に詳しく、細かく書かれています。
そもそも地下400mのトンネルが下流100㎞の水量に大きな影響を及ぼすことは常識的には考えにくく、有識者会議でもそのような結論になっています。
工事中の湧水量は2m3/sと予想されていますが、そのうち1.3m3/sは戻すとしています。
もう、反対のための反対であることは明らかです。
JR東海の対応も完璧というわけではありません。静岡県に対して根回し不足という面はあったかと思います。
しかし、科学的知見を無視してここまで意固地に拗らせるのは異常だと思います。
おそらく川勝知事はプライドの高い人物ですが、基本的に学者であり、実務能力は高くないと思われます。
リニア問題だけでなく、本書で紹介されている他のプロジェクトの顛末を見ても、周囲に根回しした痕跡が見られません。
また発言は上から目線で、菅総理に「菅義偉という人物の教養レベルが図らずも露見した」という暴言で批判を浴びました。
このような知事がトップに立つ静岡県は、悲劇だと思います。

リニア問題を考えたいひとのために!
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第81期順位戦【C級1組・最終一斉対局】 [将棋]

注目の伊藤匠五段は昇級ならずです。

[C級1組]
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2022/81c1/index.html

9回戦まで終了し、全勝は伊藤匠五段のみ。1敗勢は3人です。
勝てば昇級の石井健太郎六段、青嶋未来六段は勝利して昇級を決めました。
同じく勝てば昇級の伊藤匠五段でしたが、ベテラン阪口悟六段のゴキゲン中飛車に超速で対抗しますが、中盤は難解な捩じりあいになります。
1分将棋になって評価値が激しく揺れ動く指運勝負となりますが、最後は阪口六段に即詰みに打ち取られて痛い星を落とします。
キャンセル待ちだった渡辺和史五段ですが、強敵都成竜馬七段相手に快勝して、見事にチャンスをつかみます。渡辺和五段が最後の昇級切符をつかみました。おめでとうございます。
2回目の降級点をくらい、C級2組に降級となったのは髙野秀行六段と平藤眞吾七段です。
平藤七段は41歳でC級1組に昇級してから、17年間、58歳までC級1組の番人として活躍されていましたが、無念の降級です。

昇級候補の若手が多いので、来季もハイレベルな争いになりそうです!

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