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第59期王座戦3局(永瀬拓矢王座VS木村一基九段) [将棋]

永瀬王座の1勝1敗で迎えた第3局です。

〔主催者HP〕
http://live.shogi.or.jp/ouza/

木村九段は『百折不撓』を好んで揮毫します。
読みかたは「ひゃくせつふとう」で意味は「何度失敗しても志を曲げないこと」です。
木村九段といえは解説やインタビューでもユーモアあふれる語り口でファンが多いですが、その内面はかなり意思の強い負けず嫌いという印象を持っています。苦しい局面、泣きたくなるような局面でも必死に考えることが大事だし、考えなくなると落ちていくだけ、という主旨のインタビューも読んだこともがあります。
これこそ、百折不撓の精神だと思います。
失敗しても、打ちのめされても、何度でも立ち上がる木村九段。
「すぐ忘れるので勉強する時間が長くなった」とぼやきながら、前を向き続ける木村九段。
五番勝負を1勝1敗で折り返し、改めての三番勝負です。
さあ運命の第三局は、どのような結末を迎えたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/69/ouza202109220101.html

ということで、将棋です。
戦型はまたまた相掛りです。もはや棋界は相掛り祭りの様相です。
後手の木村九段が工夫を見せますが、序盤早々に桂損です。と思いきや、先手の永瀬王座が助かったはずの桂馬をすぐに端に捨てます。
その捨てられた桂馬を木村九段が取るかと思いきや、取らずに飛車の取り合いとなります。
結果として先手桂馬得。しかも成桂が生きています。
さすがに先手の永瀬王座が良いだろうと思ってみていたのですが、森内九段をほうふつとさせる木村九段の頑強な受けがあり、徐々に混戦となります。
評価値も激しく上下しますが、永瀬よりから木村寄りへと傾いてきます。
勝負を分けたのは100手目でした。
木村九段は永瀬陣の右辺を開拓すべく2七に歩を合わせていきますが、ここに歩を打ったばかりに裏側から香車を打たれて、一気に苦しくなります。
ここで木村九段は形勢を悲観しすぎたようです。
本当はまだ粘る順があったようですが、その手が見えずに、131手まで永瀬王座の勝ちとなりました。木村九段としては悔やまれる一局になってしまいました。
ある意味では、すごく人間らしい将棋だったと思います。

第4局は10月5日に神戸市「ホテルオークラ神戸」で行われます!
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第80期順位戦展望【C級1組・序盤戦】 [将棋]

4連勝が5人とハイレベルな争いです。

〔対戦表〕 
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2021/80c1/index.html

4連中なのが及川拓馬六段、石井健太郎六段、黒田尭之五段、出口若武五段、宮田敦史七段の5人です。昇級は3人なので、黒田五段がボーダーです。
ただ、黒田五段は順位29位なるので、1敗勢の飯島栄治八段、千葉幸生七段、高橋道雄九段、阪口悟六段ににチャンスがあります。特に大ベテランの高橋九段の奮闘が光ります。
ただ、同じ1敗勢でも、大橋貴洸六段は順位31位と実質的に星2つ差なので厳しいかもしれません。
降級点持ちのなかでは、森下卓九段、豊川孝弘七段、田村康介七段、佐藤秀司八段、髙野秀行六段が降級圏内に沈んでいます。
ただ、今期は星を伸ばす棋士と白星が集まらない棋士と二分化しているので、まだまだ分かりません。
うつ病から復帰した先崎学九段は4連敗です。
ただこうして対局できるまで復帰したことがすごいと思います。

残りは6戦です!
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【書評】東海林明雄『氷の世界』 [書評]

様々な氷を豊富な写真で紹介です。


氷の世界 (科学のアルバム)

氷の世界 (科学のアルバム)

  • 作者: 東海林 明雄
  • 出版社/メーカー: あかね書房
  • 発売日: 2005/03/01
  • メディア: 単行本



自然界の氷には様々な種類があります。
岸辺の氷は、波や風の状態によって、様々な造形を見せます。木々にしぶきがつく「しぶき着氷」や「しぶきつらら」。丸くなったり円柱状になったりと様々です。
流氷は塩水が凍ったものかと思ったら、実は真水で、塩分はこ濃縮された海水が氷の中に閉じ込められていることを初めて知りました。
考えたら水に塩分を溶かすと氷点が下がるので、それはそうかと気が付くのですが。
もちろん御神渡りも紹介されています。

自然界にある様々な氷を知りたいひとのために!
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第80期順位戦展望【B級1組・序盤戦】 [将棋]

おおむね5回戦まで終了です。

〔対戦表〕 
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2021/80b1/index.html

トップを走るのは唯一の5連勝の佐々木勇気七段です。
若くしてプロ入りしてだれもが認める才能の持ち主ですが、覚醒した感じがあり、このまま走り抜けそうな勢いです。
近藤誠也七段との勝利が光ります。
2位は千田翔太七段です。4勝1敗ですが、ライバルになりそうな棋士との対戦はこれからなので、まだまだ分かりません。
同じく1敗で順位の差で3位が藤井聡太三冠です。上位2人との対戦がまただなので、地力が残っています。
順当なら昇級すると思いますが、何がおこるか分からないのがB級1組です。
2敗組では、新婚の稲葉陽八段が面白いかもしれません。
藤井三冠(当時は二冠)との勝利が光ります。
逆に苦しいのが4連敗の松尾歩七段と久保利明九段です。
B級1組の門番と言われてきた松尾七段ですが、B級1組のレベルが上がったためか苦戦中です。降級枠が3つに増えたので、今期はピンチかもしれません。
久保九段も調子が上がらず、AIの影響か序盤からの作戦負けが多いです。
他の棋戦でも負けが込んでいることもあり、振り飛車党総帥としてもうひと踏ん張りして欲しいのですが。
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【公募情報】第37回2021年ACAP消費者問題に関する「わたしの提言」募集(論文・10/31〆) [公募情報]

消費者問題に対する提言を募集です。

〔主催者HP〕
https://www.acap.or.jp/activity/enlightenment/teigen/teigen-entry/

ACAPの正式名称は公益社団法人消費者関連専門家会議で、消費者問題に関する専門家の組織とのことです。日本には様々な公益社団法人があるなあと思ます。
テーマは以下の6つです。
・わたしが考える消費者教育
・SDGs目標達成のために取り組むべきこと
・インターネット社会と消費者課題
・成年年齢引き下げに伴う被害防止を考える
・“消費”で築く新しい日常  (令和3年度消費者月間テーマ)
・消費生活に関する自由課題(テーマ自由)
現代的なテーマも見られます。
制限文字数は2000~8000字、応募締切は令和3年10月31日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:論文
テーマ :本文参照
最優秀賞:10万円
制限文字数:2000字~8000字(一般)
応募方法:郵送
応募締切:令和3年10月31日
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第4回abemaTVトーナメント決勝(チーム藤井VSチーム木村) [将棋]

いよいよ決勝戦です。

〔主催者HP〕
https://abema.tv/video/genre/shogi


自分の事前予想だと○チーム木村、△チーム藤井でした。
本命だったチーム豊島は予選で敗退し、二つ目の○評価のチーム永瀬はチーム木村に敗れました。
チーム豊島の予選敗退は想定外でしたが、概ね予想通りに強いチームが勝ち上がってきた印象です。

チーム木村ですが、木村九段のフィッシャー適性の高さは特筆ものです。
佐々木七段は本戦6連勝と絶好調、つらい局面でも逆転に導く勝負術も光ります。
池永五段も要所で相手方エースを打ち崩すなどよい仕事をしています。
チーム藤井ですが、藤井二冠はときおり取りこぼすもののフィッシャー無双状態です。
伊藤四段も若さからかフィッシャー適性の高さをみせ、公式戦以上の活躍を見せています。
高見七段も前局では2連勝と調子を上げています。
チーム力としてはほぼ互角なので、采配で勝負が決まるかもしれません。

伊藤匠 × ― 〇 木村
藤井  ○ ― × 池永
高見  × ― ○ 佐々勇
伊藤匠 ○ ― × 木村一
藤井  ○ ― × 佐々勇
高見  × ― ○ 池永
藤井  ○ ― × 木村
高見  ○ ― × 佐々勇

ということで、5勝3敗でチーム藤井が優勝しました。
藤井三冠が危なげなく3勝したのが大きかったです。序盤からリードを広げる指し回しは、まるでひとりだけ違う地平を見ているかのようです。
チーム木村も粘りましたが、伊藤匠がフィッシャールールーでトップクラスの実力を見せて、木村九段から1勝をもぎ取ったのも大きかったです。
最終の高見VS佐々木戦ですが、先手番の佐々木七段が無理して打開したところを、高見七段が上手くとがめました。
両チームとも全員が1勝以上をあげるという決勝戦にふさわしい熱戦だったと思います。

これで藤井三冠は個人、団体合わせて4連破となりました。
また来年も楽しみです!
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第1期ヒューリック杯白玲戦第2局(西山朋佳女流三冠VS渡部愛女流三段) [将棋]

西山女流三冠の先勝で始まった第2局です。

〔主催者HP〕
http://live.shogi.or.jp/hakurei/

女流棋界のタイトル戦では五番勝負が最長でした
それが白玲戦では初の七番勝負となり、全国を飛び回ります。
女流棋戦は、定番の場所か、開催されるかどうか不明の第4局以降は将棋会館というパターンが多かったです。
主催者のヒューリックが全国でホテル事業を展開しているということもありますが、白玲戦では第6局まで対局場が決まっているのは嬉しいことです。
ヒューリックの試みが成功すれば、スポンサーとしてホテルチェーンが名乗りを上げてくれるかもしれません。
コロナ禍で厳しい環境ですが、状況が改善すれば、集客としてひとつの力になると思います。
さあ、第2局はヒューリックが経営する「ホテル日航金沢」です。
コロナ禍ではありますが、会場が盛り上がる対局を見せることはできたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/hakurei/kifu/1/hakurei202109180101.html

ということで、将棋です。
居飛車党の渡部女流三段と振り飛車党の西山女流三冠の対局なので、当然ながら対抗形となりました。
西山女流三冠の作戦は四間飛車ですが、金無双のような構えから金を力強く前進させて、あまり例のない構えを取ります。
渡部女流三段も途中まではミレニアムのような形でしたが、対抗するように銀を前進させていきます。
対抗形ながら力戦となります。
中盤で最初に一本取ったのは渡部女流三段です。
西山女流三冠がやや妥協した部分もあり、得した香車を五筋に打って中央を制圧にかかります。
先手が好調に思えましたが、後手の7六桂打ちに素直に金を取らせたのが良くなかったのかもしれません。
さらに7六桂打の反撃に3一角と龍取りに引かれたのがあまりにぴったりで、龍を逃げるしかないのでは、さらに1手分の差が広がったように思います。
途中までいい勝負だっただけに、ちょっと弱気になった隙を突かれたのかもしれません。
106手まで西山女流三冠が貫録勝ちをして、これで2連勝となりました。持ち時間を1時間以上残す完勝です。

第3局は、10月2日(土)に鹿児島県指宿市「指宿白水館」で行われます!
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第11期リコー杯女流王座戦挑戦者決定戦(里見香奈四冠VS伊藤沙恵女流三段) [将棋]

やはりこの2人が勝ち上がってきました。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryu_ouza/

両者とも本選トーナメント3連勝で決勝の舞台ですが、実力者が右の山に偏りました。
里見女流四冠は、渡部愛女流三段、上田初美女流四段、加藤桃子女流三段とタイトル経験者3名を撃破しての決勝進出です。
伊藤女流三段は全員がタイトル未経験で、加藤結季愛女流初段、脇田奈々子女流初段、山口恵梨子女流二段を破っての決勝進出です。
これだけ極端なのも珍しい気がします。
伊藤女流三段は、女流順位戦では5位に終わりましたが、女流名人戦では3勝1敗と好スタートを切り、女流棋界で2強につぐ位置を着実なものとしています。
対戦成績で分の悪い相手ですが、ここで一発入れてタイトル挑戦権を獲得することができるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryu_ouza/kifu/11/joryu_ouza202109170101.html

ということで将棋です。
最近の里見女流四冠は中飛車一本やりで、本局も中飛車に構えます。
伊藤女流三段が振ると、手損をいとわず2筋に振り直します。
多少は損しても、得意の形に持ち込もうということだと思います。
先攻したのは伊藤女流三段です。
歩でうまく守られ角を僻地に引かされますが、再攻撃とばかりに銀を進出させたところで里見女流四冠の鋭手が飛んできました。
4一銀です。
単騎の銀ですが、後手陣の薄みをついて、急所に刺さりました。
伊藤女流三段も上部を開拓しながら入玉をチラつかせますが、里見女流四冠は慌てません。
109手までがっちりと勝ち切り、これで西山女流王座への挑戦権を獲得しました。

女流王座戦第1局は、10月28日(木)東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で行われます!
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第80期順位戦展望【B級2組・序盤戦】 [将棋]

概ね第4局まで終了です。

〔対戦表〕 
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2021/80b2/index.html

4連勝で単独トップに立ったのは中村太地七段です。
ライバルである高見泰地七段との直接対決で競り勝ったのは大きいです。
順位4位の澤田真吾七段は戸部攻めに屈して3勝1敗と一歩後退も、昇級圏内をキープです。
この後、増田康宏六段戦、丸山忠久九段戦があるので、ここが昇級のカギとなりそうです。
丸山忠久九段は3勝1敗と好位置をキープ。澤田真吾七段との直接対決を制すれば、1期でのB1組復帰も見えてきます。行方尚史九段も3勝1敗ですが、後半の対戦相手が上位陣ばかりなので道のりは険しいです。
このあたりのベテラン勢が、台風の目になるかもしれません。
他には戸部誠七段、増田康宏六段も3勝1敗と好スタートを切っています。
大ベテランの井上慶太九段も3勝1敗と奮闘中です。
苦しいのは谷川浩司九段で4連敗です。後半巻き返して降級点を回避できるかどうかです。
深浦康市九段も1勝3敗と苦しんでいます。B級2組で負け越す棋士ではないと思うのですが。
降級点組だと、巣作り動画が人気となった窪田義行七段が4連敗と苦しんでいます。
後半戦の巻き返しに期待したいと思ます!
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第59期王座戦第2局(永瀬拓矢王座VS木村一基九段) [将棋]

木村九段の先勝で迎えた第2局です。

〔主催者HP〕
http://live.shogi.or.jp/ouza/

四強の時代と言われますが、永瀬王座は、渡辺明名人・豊島将之竜王・藤井聡太三冠の三者と比べると若干後塵を拝している部分があります。
藤井三冠が抜けていますが、渡辺名人は豊島竜王に勝ち越すなど、それぞれ得意不得意があります。
ところが永瀬王座は全員に負け越し、三強からタイトルを奪ったことがありません。
竜王戦の挑戦者決定戦でも、藤井二冠(当時)に連敗して挑戦権獲得に失敗しました。
王座戦開幕前のインタビューでは「状態は良くない」と吐露して、現に第1局では終盤に見落としがあり黒星スタートとなりました。
先手番であり、途中まで研究通りに進んでいたと思われるだけに、痛い敗戦です。
とはいえ、三強に追いつき追い越すためには、王座戦を落とすわけにはいきません。
負けるとカド番に追い込まれる第2局の結果は、どうなったでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/69/ouza202109150101.html

ということで将棋です。
戦型は木村九段の得意戦法である相掛りとなりました。
流行中ということもありますが、木村九段が先手なので、大方の予想通りといえます。
木村九段は自身の採用例が多い6八玉に構えると、1筋の香交換から8五歩と突っ張った受けをします。
そのまま玉側で戦いを起こしますが、評価値は互角でも先手が大変そうに見えます。
自玉が戦場に近いだけに、流れ弾に当たりやすいです。
そこから直線的な変化に突入しますが、永瀬王座は先手玉より戦場から1路遠いことを活かしてするすると逃げだします。
先手も遅れて逃げ出しますが、実戦的に1路の差が大きかったように思います。
木村九段は飛車を打ち込んで挟撃体制を整えますが、永瀬王座の刃が一歩早く木村玉に届きました。
永瀬王座は木村玉に必死をかけ、攻防手のない木村九段は投了の意思を示しました。

これで1勝1敗のタイです。
第3局は9月22日(水)、神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で行われます!

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