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【書評】渡辺房男『われ沽券にかかわらず』 [書評]

沽券とは、江戸時代に土地売買された証文のことです。


われ沽券にかかわらず

われ沽券にかかわらず

  • 作者: 渡辺 房男
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/03
  • メディア: 単行本



本作のテーマは明治初期の土地取引です。
当時は、生産力を持つ農地こそ価値がある、と思われていて、都市部の土地はそれほど価値を見出されていませんでした。
その証拠に、当初の地租は農地3%だったのに比べて、都市部は1%でした。
大名屋敷を接収した明治政府は、おどろくほどの安値で都市部の土地を売り出していきます。
その時代において、都市部の土地に価値を見出し、ばくちを打った人たちがいました。
そうしたひとたちを主人公にして、物語は進んでいきます。
時代が落ち着いてくると、大資本が進出し、個人プレイヤーは敗北していくのですが、明治時代の土地投機はダイナミックで面白いです。

もうひとつの明治を知りたいひとのために!

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