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【書評】渡辺房男『日本銀行を創った男』 [書評]

日本銀行の創設者である松方正義の伝記です。


日本銀行を創った男―小説・松方正義

日本銀行を創った男―小説・松方正義

  • 作者: 渡辺 房男
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/05
  • メディア: 単行本



松方正義は明治元勲では地味な存在です。
幕末に志士として華々しく活躍したわけではなく、明治期における活躍も財政面に限られています。
しかし、その財政面で特筆べき業績を残し、元勲として重きを置くことになります。
明治初期、西南戦争の戦費のために紙幣が乱発され、深刻なインフレが進行していました。
当時の財政担当者である大隈重信は貨幣制度を創設した偉人ですが、インフレを抑えることに失敗し、憲法問題もあって失脚します。
後片付けを任されたのが松方正義です。
松方は極端な緊縮財政を引き、市井に溢れた紙幣を回収し、本位通貨である銀貨を蓄積することでインフレを抑えます。
その代償として極端な不況に陥り、暴動が発生する事態にまで陥ります。
デフレ政策を進めるために、日本銀行が設立されました。
財政のプロとしての矜持を感じます。

あまり知られていない明治の元勲、松方正義を知りたいひとのために!

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