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第44期棋王戦第4局(渡辺明棋王VS広瀬章人竜王) [将棋]

渡辺棋王の2勝1敗で迎えた第4局です。

【中継サイト】
http://live.shogi.or.jp/kiou/

一度、勝率が5割を切った棋士が復活するのは容易ではありません。
渡辺棋王は昨年絶不調に陥り、勝率は5割を切り、竜王位を失陥しA級からも陥落しました。
それが今期は全勝でA級への復帰を決め、王将位をストレートで奪取し、勝率も8割に迫ります。
まさに華麗なる復活です。
「固く囲って細い攻めを繋げる」「綿密に作戦を用意する」といった従来からの棋風はそのままに、現代的な「全体的なバランスをとる」将棋がミックスされ、まさに無敵状態になりつつあります。
渡辺棋王は34歳、今年で35歳になります。
昭和の時代であれば「脂の乗り切った時期」と言われたと思いますが、現在では若手とはいえない年齢です。
ここまで実績を積み上げているのにもかかわらず、棋風改造できる勇気に敬意を称したいです。
元から積んでいるエンジンが違うのですから、これから渡辺時代を迎えるのかもしれません。

【棋譜】
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/44/kiou201903170101.html

ということで、将棋です。
先手の渡辺棋王は角換わりを選択し、広瀬竜王も追随します。
後手の手待ちに対して先手は後手からの仕掛けを誘い、仕掛けてきたところで4五歩と位をとって4四の好位置に角を据えます。
これが渡辺棋王の作戦だったようです。
とはいえ、この手で決まるような局面ではありません。
若干、先手ペースで進みますが互角の範囲です。
大きく形勢が動いたのは、96手目前後に広瀬竜王が先手玉を下から追いかけた局面です。
あっさり飛車を切って銀打ちでふさがれると、意外とよりません。
さらに攻防に据えた角をこれまた飛車切りでもぎ取られると、形勢がはっきりしました。
かなり難解な局面で先手が勝つ筋は太くはないはずですが、細い糸を確実に掴める強さがいまの渡辺棋王にはあります。

手数は長くなりましたが渡辺棋王が快勝し、これで棋王戦7連覇を達成しました。
おめでとうございます!

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