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【書評】歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』 [書評]

青春小説のようなタイトルですが、本格ミステリです。


葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/05/10
  • メディア: Kindle版



ストーリーはというと、何でも首をつっこむ主人公が、後輩の頼みから悪徳商法業者・蓬莱倶楽部の秘密を探ろうと探偵業を始めます。
このメインストーリーの合間に、主人公の過去、古屋節子の転落人生、友人である安藤士郎の自殺等のサブストーリーが挟まれます。
このサブストーリーが、最後に収斂されます。
全てをつなぐキーが、冒頭の何気ないシーンと繋がっています。
とにかく構成が見事です。全ての世界観がひっくりかえるラスト、さらにそのラストを隠しつつときおり違和感を挟ませるフェアネス精神。全ての行動を自然に見せる登場人物の描き方。
最後に主人公が語る人生観の演説が長いこと以外は、文句の付けようがありません。
第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞、このミステリーがすごい! 2004年版第1位、本格ミステリベスト10 2004年版第1位など、この年のミステリ賞を総なめにしています。
それだけの価値がある作品です。

傑作ミステリを読みたいひとのために!

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