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【書評】F・W・クロフツ『クロイドン発12時30分』 [書評]

倒叙推理の先駆けとなる名作です。


クロイドン発12時30分 (創元推理文庫 (106-11))

クロイドン発12時30分 (創元推理文庫 (106-11))

  • 作者: F・W・クロフツ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1959/06/05
  • メディア: 文庫



倒叙推理小説とは、犯人側から書くミステリーです。
読者は犯人も犯行も分かっています。その上で、刑事たちの推理を楽しみます。

本書の主人公(=犯人)は、中小企業のオーナーです。
不況により経営難に陥り、財産家である叔父が殺害し、遺産を手に入れようとします。
叔父は遺言を書いており、主人公は財産の半分を受け取ることを知っていました。
主人公は身元を隠して犯行準備を進め、アリバイ工作もします。
完璧と思ったのですが、やはり穴がいろいろあり、徐々に追い詰められています。

ついに逮捕、裁判となり、弁護士の奮闘に一瞬希望を抱きますが、有罪の判決を受けます。
平凡な事件ですが、犯人の心理を丁寧に書くことで、実に上質の作品に仕上がっていると思います。
時代を感じさせない名作だと思います。
倒叙推理小説に興味のあるひとに!


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