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【書評】東野圭吾『魔球』 [書評]

東野圭吾初期に連発したスポーツミステリです。


魔球 (講談社文庫)

魔球 (講談社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/06/04
  • メディア: 文庫



傑作だと思います。
練り込まれたトリックは登場しません。ただ、断片的な情報が最後の最後で繋がり、ほぐれていく様は、エルキュールポアロを連想させます。
また、ただミステリとして解答を示すだけでなく、それぞれに人間ドラマがあり、登場人物たちの隠された一面が捜査の進展とともに見えてきます。それにともない、細かい言動のひとつひとつに、意味があることを知ります。
トリックではないので、事件の構造は途中で見えてきます。
そういうことを差し引いてもというより、途中で見えるからこそ、これだけ引き込まれる作品になったのではないかと思います。
若き才能が隅々にまで詰まっています。

東野圭吾初期の傑作のひとつだと思います。

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