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【SS】齊藤想『スペース・ドライバー』 [自作ショートショート]

これは過去にブログで公開していた作品です。書いたのはプロパティからすると2002年2月のようです。
この作品は、「下らないことを壮大に書く」というショートショートでよく使われる技法をそのまま使っています。
たまには古風な超絶ストレートな作品でもUPしようかと思いまして。

具体的な技法はこちらの無料ニュースレターで紹介します。次回は8/5発行です。



・基本的に月2回発行(5日、20日※こちらはバックナンバー)。
・新規登録の特典のアイデア発想のオリジナルシート(キーワード法、物語改造法)つき!

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『スペース・ドライバー』 齊藤 想

 配達依頼が、宇宙回線を通して次から次へと舞い込んでくる。そのたびに、我々スペースドライバーは商品を積んで出発するのだ。
 この仕事は時間との勝負だ。
 一分一秒でも、顧客の指定した時間に届かないと、わが社の信頼にかかわるだけでなく、配達料金が無料になってしまう。そうなると、我らスペースドライバーは歩合給のため、給料が貰えなくなってしまう。
 競争原理とは厳しいものだ。
 けたたましいブザーが鳴り、おれに仕事が来たことを知らせてくる。
 さっそく商品を小型宇宙船に積み込み、宇宙船に搭載されているナビシステムに行き先を入力する。ちょっと遠い。ワープを三回繰り返す必要があるが、何とか時間内に着きそうだ。
 おれは運転席に乗り込むと、赤い出発ボタンを押した。
 急速に背景が原色のまだら模様に変わり、激しい横揺れに襲われる。新人のころはワープ酔いに悩まされたものだが、いまでは模様を楽しむ余裕も出てきた。目的地はもうすぐだ。
 今回のお届け先は、団地の三階だった。自動操縦が発達したとはいえ、着地にはまだまだ人間の手が必要だ。慎重に中庭に宇宙船を下ろすと、トランクにしまってあった商品を取り出す。まだ暖かい。それを大事に抱えながら、階段を一気に三階まで上がる。やはり最後は自分の足が頼りなのだ。
 肩で息をしながら呼び鈴を押す。玄関の扉が開いて、中から主婦らしき中年女性が顔を出す。
 おれは元気な声で、いつものせりふを言う。
「ピザをお届けにあがりました!」
 主婦が時計を見ながら答える。
「ぴったり時間通りね。まだ暖かいわ」
「おいしいうちに届けるのが、わが社のポリシーですから」
 仕事を終えたおれは、お店に帰ろうと宇宙船に乗り込む。ビビビ・・・と耳障りな音が響く。宇宙船の画面をみると、すでに次の注文が入っていることを示していた。
 まったく、交通手段が発達しても、ちっとも仕事は楽にならねえ。
 おれはぼやきながら、次の配達へと向かうのだ。

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