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【書評】逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』 [書評]

第11回アガサ・クリスティ賞を全員満点で受賞した話題作です。


同志少女よ、敵を撃て

同志少女よ、敵を撃て

  • 作者: 逢坂 冬馬
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2021/11/17
  • メディア: Kindle版



舞台は独ソ戦です。
ドイツ軍によって村全体が皆殺しにされた少女が、復讐のために狙撃兵になる話です。
激しい戦争の中、まるで機械のようにドイツ兵を殺していく自分という存在の意味を、追い求めます。
長編ですが、視点はほぼ主人公に固定されています。
(ドンデン返しの必要性から、一部、異なる部分はありますが)
ストーリーの軸はふたつで、母親を殺したドイツ狙撃兵及び自分を殺人マシーンに仕立て上げた教官への復讐。
もうひとつが、狙撃兵になった自分の生きる意味を追い求める。
この二つを、仲間や敵兵の死を見ながら、揺れ動きます。
ときおり、読者心をくすぐるように戦闘シーンがあり、人生を考えさせる人間描写があります。
なにより、人間が良くかけています。単純な善悪で分けるような書き方はしていません。それぞれに人生があり、考えがあり、目標がある。
それぞれのキャラに綿密なバックストーリーを持たせながら、あえて書かない。
並みの新人ではないと思わせます。
長編ですが、リーダービリティーが良く、これは満場一致になるべく出来栄えです。
これは、他の応募者は不運を嘆くしかありません。

アガサ・クリスティ賞を満場一致で受賞した作品を読みたいひとのために!
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