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【書評】小松左京『ゴルディアスの結び目』 [書評]

表題作は1978年の星雲賞(短編部門)受賞作です。


ゴルディアスの結び目 (角川文庫)

ゴルディアスの結び目 (角川文庫)

  • 作者: 小松 左京
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/03/25
  • メディア: Kindle版



ゴルディアスの結び目とは、アレクサンドロス大王にまつわる伝説です。
「この結び目を解くことができたものこそ、このアジアの王になるであろう」と予言された結び目を、遠征中のアレクサンドロス大王が、一刀のもとに断ち切ってしまいます。
つまり、予想外の方法で問題を解決することを指しています。コロンブスの卵と同系統の話ですが、ゴルディアスの結び目は機知だけでなく大胆さも加わっています。
本作の主人公は、精神分析医です。
すべてに絶望したマリアが産み出す力を探るために、主人公は彼女の精神に潜り込んでいきますが、結果として彼女がいた部屋がどんどん圧縮されて小さな球体となり、それはいつしかブラックホールになる運命であった、という感じの話です。
この当時に、この発想で、SFを書ききったことがすごいと思います。
時代を数十年先取りしていると感じます。
ただ、ライトなSFファンには読みにくいかもしれません。
表題作以外にも『岬にて』『すぺるむ・さぴえんすの冒険 - Sperm Sapiens Dunamaiの航海とその死』『あなろぐ・らう゛または“こすもごにあII”』も収録されています。

星雲賞(短編部門)受賞作を読みたいひとのために!
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