SSブログ

【書評】筒井康隆『家族八景』 [書評]

七瀬シリーズ三部作の第1作です。


家族八景(新潮文庫)

家族八景(新潮文庫)

  • 作者: 筒井康隆
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/07/01
  • メディア: Kindle版



本作は短編連作で、『無風地帯』『澱の呪縛』『青春讃歌』『水蜜桃』『紅蓮菩薩』『芝生は緑』『日曜画家』『亡母渇仰』の8作収録されています。
主人公は火田七瀬で、彼女は他人の思考を読み取ることができます。
この超能力を隠すために、さすらいのお手伝いさんとなり、様々な家に住み込みで働きます。
その住み込む家がひとくせもふたくせもある家族で、お互いを憎しみあったり、コンプレックスを抱えていたり、夫婦で不倫に走ったりしています。
人間のドロドロしたところを白日の下にさらす、かなりブラックな作品です。
火田七瀬は否応なく人間の嫌なところばかり見続けることになり、そのためにますまず自らの殻にこもり、能力を隠すようになります。
実は、これが大きな伏線になっています。
そして、最後の短編『亡母渇仰』で、いままでの伏線の効果が爆発します。
それぞれの家族の問題点は解決されることはありませんので、カタルシスはありません。
ジャンルとしてはSFですが、サスペンスに近いと思います。

人間関係がドロドロした作品を読みたいひとのために!
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。