【書評】眉村卓『ねらわれた学園』 [書評]
何度もドラマ化、映画化されたジュブナイル小説の金字塔です。
舞台は中学校です。
進学校ですがいたずらが頻発し、その風紀を改めようと独りの女子生徒が会長職に立候補して当選します。
しかもこの女子生徒は超能力者で、反対する生徒に頭痛を起こしたり、跳ね飛ばしたりすることができます。
新会長は生徒会の決議を取り「校内パトロール」を開始し、些細な違反で生徒たちを指弾し、中学校を支配していきます。
主人公のクラスは生徒会に反発し、いよいよ対決へと向かいます。
本書は1973年作の古い作品ですが、何度も映像化されているだけ、ムチャクチャ面白いです。
読みやすさと物語に引き込む序盤の仕掛けが絶品です。
冒頭で、会長職になる女子生徒の手先である生徒がクラスで正論をぶって、軽い波乱を起こします。
ここで物語のテーマとキャラを説明しつつ、大問題が発生しそうな予兆というか、期待感を読者にもたせます。
ここまで文庫本でP6~P15なのでわずか9ページです。
ここから主敵である会長職が登場し、ファシズムで中学を支配し……と、怒涛の展開です。しかもキャラは絞り込まれており、不必要な人物がまったくいません。全員が、物語のなかで、それなりに役割をきっちり果たしています。
おそらくですが、ベースになっているのは1969年にアメリカで行われたサード・ウェーブ実験ではないかと思います。
高校教師のジョーンズが、ファシズムの恐ろしさを体験させるためにわずか4日間で完全に洗脳してしますのですが、途中までのストーリーは完全にこの流れです。
本書のラストについては、いま読み返すと甘い部分があるかもしれません。
それでも、傑作であることには変わりがないと思います。
蛇足ですが、当時の眉村卓はSFマガジンを中心に活躍していましたが、早川書房の原稿料は安く、編集者である福島正実はその穴埋めとばかりに、他社のジュブナイル小説の仕事の斡旋をしていたそうです。
だからかもしれませんが、当時のSF作家の多くはジュブナイル小説を手がけています。
後世の読者からすれば、ありがたい限りです。
ジュブナイル小説の金字塔を堪能したい人のために!
舞台は中学校です。
進学校ですがいたずらが頻発し、その風紀を改めようと独りの女子生徒が会長職に立候補して当選します。
しかもこの女子生徒は超能力者で、反対する生徒に頭痛を起こしたり、跳ね飛ばしたりすることができます。
新会長は生徒会の決議を取り「校内パトロール」を開始し、些細な違反で生徒たちを指弾し、中学校を支配していきます。
主人公のクラスは生徒会に反発し、いよいよ対決へと向かいます。
本書は1973年作の古い作品ですが、何度も映像化されているだけ、ムチャクチャ面白いです。
読みやすさと物語に引き込む序盤の仕掛けが絶品です。
冒頭で、会長職になる女子生徒の手先である生徒がクラスで正論をぶって、軽い波乱を起こします。
ここで物語のテーマとキャラを説明しつつ、大問題が発生しそうな予兆というか、期待感を読者にもたせます。
ここまで文庫本でP6~P15なのでわずか9ページです。
ここから主敵である会長職が登場し、ファシズムで中学を支配し……と、怒涛の展開です。しかもキャラは絞り込まれており、不必要な人物がまったくいません。全員が、物語のなかで、それなりに役割をきっちり果たしています。
おそらくですが、ベースになっているのは1969年にアメリカで行われたサード・ウェーブ実験ではないかと思います。
高校教師のジョーンズが、ファシズムの恐ろしさを体験させるためにわずか4日間で完全に洗脳してしますのですが、途中までのストーリーは完全にこの流れです。
本書のラストについては、いま読み返すと甘い部分があるかもしれません。
それでも、傑作であることには変わりがないと思います。
蛇足ですが、当時の眉村卓はSFマガジンを中心に活躍していましたが、早川書房の原稿料は安く、編集者である福島正実はその穴埋めとばかりに、他社のジュブナイル小説の仕事の斡旋をしていたそうです。
だからかもしれませんが、当時のSF作家の多くはジュブナイル小説を手がけています。
後世の読者からすれば、ありがたい限りです。
ジュブナイル小説の金字塔を堪能したい人のために!
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