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【書評】早坂隆『鎮魂の旅~大東亜戦争秘録~』 [書評]

埋もれてしまったエピソードを掘り起こす旅です。


鎮魂の旅 - 大東亜戦争秘録

鎮魂の旅 - 大東亜戦争秘録

  • 作者: 早坂 隆
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/07/09
  • メディア: 単行本



収録されているエピソードは10です。
・樺太看護団集団自決事件
 → 白虎隊を思わせます。精神的に追い込まれた女性たちの悲劇です。
・B29搭乗員を介錯した武士道の顛末
 → 満淵正明は食料も医療もないなか、苦しむ米兵を武士の情けで介錯を命じます。
   戦後、野蛮な行為として戦犯として死罪となってしまいます。
・Uボート内で散った日本人技術者
 → 庄司元三軍事技術中佐の話。
   ドイツから日本に潜水艦で帰還途中でドイツが降伏したための悲劇です。
   有意な人材をこうして失ってしまいました。
・特攻隊発祥の地を歩く。
 → 敷島隊の隊員、谷暢夫(のんぷ)と母との愛情が胸を打ちます。
・函館俘虜収容所第一分所で何が起きたのか。
 → 平手嘉一大尉は、決められたとおりに、むしろ善意を持って捕虜を取り扱いましたが、それが虐待とみなされて死罪となります。
   戦争で負けるというのは、こういうことです。ただただ悲しい。
・知られざる特攻兵器「震洋」が描いた航跡
 → こんな状態なっても戦争を続けなくてはならなかったのか、と思わせます。
・特攻にまつわる然る夫婦の相聞歌
 → 家族持ちは特攻から除外されていました。
   特攻を志願する夫のために、妻と子どもが自殺してしまう話です。
   教え子に特攻させておいて、自分が特攻しないわけにはいかない、という気持ちはわかりますが、なんとかならなかったのかと思ってしまいます。
・埋もれた史実「モンゴル抑留」の実態
 → シベリア抑留は有名ですが、モンゴルにも抑留はありました。
   首都ウランバートルの近代化の労働力として投入されます。
   こうした史実を残すのは大事です。
・敗戦の責任は何処に有りや。
 → 肥田武陸軍航空技術大尉は終戦時に軍人として責任を取って自決します。
   戦争責任の取り方はひとそれぞれではありますが。
・台湾で神になった日本人兵士
 → 杉浦茂峰は、集落に墜落するのを回避するためにギリギリまで脱出を遅らせた結果、墜落死してしまいます。
   こうした人が異国で祭られているのは、嬉しい限りです。

文学的な描写や作為が見られるところもありますが、丁寧な取材で好感が持てます。
ただただ、戦争は悲しいです。

埋もれつつあるエピソードを知りたいひとのために!
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