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【書評】早坂隆『ペリリュー玉砕~南洋のサムライ・中川州男の戦い~』 [書評]

太平洋戦争で有数の激戦地として知られるペリリュー島守備隊を率いた中川州男の物語です。


ペリリュー玉砕 南洋のサムライ・中川州男の戦い (文春新書)

ペリリュー玉砕 南洋のサムライ・中川州男の戦い (文春新書)

  • 作者: 隆, 早坂
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/06/20
  • メディア: 新書



中川州男は熊本県出身です。
陸軍に入隊後は現場のたたき上げとして過ごし、四十代に入ってから陸軍大学校の専科を卒業します。
日中戦争の拡大とともに満州配属となりますが、太平洋戦争が厳し情勢に陥ると、南方戦線への転出となります。
そして、ペリリュー島の守備隊長に任命されます。
中川隊長は数日で陥落すると思われた小島を守り続け、戦いは74日にも及びました。
矢折れ刀付き、最後は自決して果てました。
中川州男は真面目で、大変に細やかな人、気遣いの人だったようです。
ペリリュー島でも綿密な調査と準備、さらには部下の人心掌握があってこそ、74日間もの奮闘が可能だったかと思います。
それにしても、いろいろな偶然が重なり、ペリリュー島の戦いが始まりました。
米軍では日本への進撃ルートとして、グアム~サイパン~硫黄島と中央突破ルートと、フィリピン攻略から日本を目指すルートがありました。
結果的に両面作戦となったのですが、中央突破が採用されていたらペリリュー島で戦闘はおきませんでした。
また米軍上陸後も、守備隊が奮闘中にペリリューを飛び越えてルソン島の戦いが始まりました。
戦略的にはペリリューを放置してもよかったはずですが、米軍のメンツの問題で最後まで戦いが続けられました。
戦争とは偶然の連続ですが、生死を分けるのは、ほんのわずかなことだと実感します。平和な時代に生まれたことを、ただただ、感謝です。

中川州男の生涯を知りたいひとのために!
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