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【書評】清水カルマ『寄生リピート』 [書評]

デビュー作がいきなり重版と好調な新人作家が、新たな恐怖を読者に届けます。


寄生リピート (幻冬舎文庫)

寄生リピート (幻冬舎文庫)

  • 作者: 清水 カルマ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2020/10/07
  • メディア: 文庫



デビュー作と同じくホラーミステリーですが、1作目との関連はありません。なので、2作目からでも安心して読むことができます。
ホラーには怪物が登場する系統と、心理的な恐怖を描く系統があると思っているのですが、本作は後者だと思います。
何度か背中がゾワゾワする恐怖に襲われ、何度か読書を止めました。
それぐらい、心理的な恐怖の仕掛けがちりばめられています。

主人公は中学二年生の白石颯太ですが、物語の主題は主人公の母親と、その母親を変質的に追い回す鯉沼成彦です。
鯉沼は主人公の母親のことを、運命の女性だと決めつけ、”久しぶり”に会えたと喜びます。何をされても、許します。その姿は気色悪いぐらいです。
この小説には様々なキャラクターが登場しますが、最初から最後まで善のキャラも、逆に悪のキャラもいません。
そうした相反する要素が出入りすることが、読者の予想を裏切り、心理的な恐怖を増す効果を生んでいると思います。
なかなかの作品だと思います。

勢いのあるホラー作家の小説を読みたいひとのために!
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