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【書評】渡辺房男『命に値段をつけます』 [書評]

明治初期に存在した賦課式保険を舞台にした小説です。


命に値段つけます

命に値段つけます

  • 作者: 渡辺 房男
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2007/10/19
  • メディア: 単行本



賦課式保険とは何かというと、講のようなものです。
お互いに小額を出し合い、助けが必要なひとに給付する。
こうした素朴な助け合いです。
この保険にはかなりの弱点があります。余命が長い、短い関係なく保険料が同額であること。入会前の事前審査が甘いこと。
西洋式の確率論に裏付けられた生命保険に駆逐される運命にあり、主人公の会社も淘汰されてしまうのですが、そこまでの物語を描くことで、明治期という時代を見事に切り取っています。
主人公も負けるだけでなく、新たな保険を生み出し、さらなる挑戦を続ける。
読後感もよく、これはなかなかの作品だと思います。

明治という時代の一側面を知りたいひとのために!
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