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【書評】フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 [書評]

 人間とは何か? 本物の生物と人工的に作られた電気仕掛けの模造生物との違いは? という問いかけを読者に突きつけます。


アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (1977年) (ハヤカワ文庫―SF)

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (1977年) (ハヤカワ文庫―SF)

  • 作者: フィリップ・K.ディック
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1977/03
  • メディア: 文庫



 舞台は核戦争後の廃墟と化した地球です。殖民惑星である火星から、自由を求めて最新型のアンドロイド8人が地球に逃げ込みます。このアンドロイドをバウンティハンターである主人公が、追いかけます。
 最新型アンドロイドは人間そっくりです。特殊な検査をしなければ見分けがつきませんが、感情の持ち方に多少の差異があります。
 ストーリーの前半は西部劇のように主人公とアンドロイドの命を懸けた追いかけっこが繰り広げられます。ところが、アンドロイドの数が減るにつれて、主人公は自分の行為に疑問を持ち始めます。
 ラスト近くで、あるアンドロイド(これは正当なもの)との交流により、主人公の違和感が決定的なものになります。
 最後のシーンは、本編とはやや離れていますが、いろいろな意味で寓意が込められていると思います。人間とは何か、人間にとっての真実とは何か、そういう問いかけがなされているSFだと思います。
 訳もとてもよいと思います。

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