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【書評】土居良三『軍艦奉行木村摂津守』 [将棋]

一般的にはほぼ無名の人物ですが、著者の思いが伝わる本だと思います。


軍艦奉行木村摂津守―近代海軍誕生の陰の立役者 (中公新書)

軍艦奉行木村摂津守―近代海軍誕生の陰の立役者 (中公新書)

  • 作者: 土居 良三
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1994/02
  • メディア: 新書



木村摂津守は旧幕臣で、幕末のころ日本海軍を作ろうと奔走した人物です。海軍奉行を始めとした幕府要職を歴任し、後の日本海軍をつくる実務者となる人材たちを育て、維新後は一切の官職を断り、市井の一個人として過ごし、明治34年にこの世を去りました。
幕末に米国まで渡ったことで歴史の教科書にまで載る臨海丸ですが、艦長は勝海舟でしたが、その上の司令官として、航海の実現から準備まで取り仕切り、見事に航海を成功させました。
臨海丸の航海を成功させた一番の功労者は、間違いなくこの木村摂津守です。
その木村摂津守の一生を追った本書ですが、家柄、人柄、仕事柄と、バランスよく書かれていると思います。また、歴史物にありがちな憶測を不用意に広げることなく、本人が残した日記を始めとする一次記録に立脚した堅牢な評伝だと思います。
また、福沢諭吉と勝海舟とも縁が深く、明治の巨人ともいえるこの二人からの目線が、いいインパクトを与えています。

この本をきっかけにして、歴史に埋もれがちな旧幕臣たちに触れる機会になってくれればと思いました。
とてもいい本だと思います。

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