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クローズアップ現代『人間VSコンピューター』 [将棋]

2/8(水)NHK教育テレビ クローズアップ現代で、電王戦が取り上げられました。

【NHKクローズアップ現代】
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3155

番組を見た感想は、将棋について知らない人も興味を持ってもらえる良いつくりだったと思います。

最初に取り上げられたのは、1997年にIBMが作成したディープブルーというソフトが当時のチェスの世界王者であり、歴代チャンピオンのなかでも最強に近いと思われるカスパロフ氏を破ったシーンでした。
正確には6戦してカスパロフ氏の1勝2敗3分で、コンピューターが完全に勝ったとは言いがたいのですが、そこには触れられず。

しかしながら、将棋はチェスと比べて局面数が10の100乗も多いので、まだまだ人間には遠く及ばないと思われてきました。

ここから電王戦の話題に移ります。
コンピューターの強さは読みの深さと評価関数の適切さで決まります。
ボンクラーズはこの評価関数を過去6万局にもおよぶプロの対局から自動で生成させています。
番組でどこまで取り上げられたか記憶が曖昧ですが、自動生成というアイディアを生み出したのは2005年に公開されたボナンザです。
いままで評価関数は人間が作成していたため、開発者の主観が混じり、どうしても開発者の棋力に左右される部分が多い部分がありました。それが、ボナンザの登場で一変したのです。
ちなみに電王戦で米長元名人を破ったボンクラーズの名前の由来も、ボナンザにあります(ボナンザ・クラスターの略です)。
決して、ぼんくら、という意味ではありません。

テレビではコンピューターが自ら学習することに主眼をおいた紹介をしていました。
本当は”学習”ではなく、適切な評価関数を設定できるような方程式の解を求めているのですが、一般的にはこうとられても仕方が無いのかもしれません。
ただ、この手法が幅広く使われるように紹介されているのは気に掛かります。
なにしろ解を求めるための方程式を作るのは人間ですし、コンピューターに方程式とデータを与えないと学習ができません。あくまで主人公は人間なのです。コンピュータが自ら方程式を組み立てるという段階には至っていません。
分かりやすくするために、多少の正確さを犠牲にしたということでしょうか。

それと、ボンクラーズの元になったボナンザの特徴は全ての手を検索する全幅検索でした。全ての手を捜すことで、人間の意表を突く手を点を連発するこでも驚きを与えたのです。
TVの紹介によるとボンクラーズは全幅検索ではなく、ある程度、絞って検索をかけるようです。
手の幅を狭めても、深く読むことを優先したものと思われます。

ここから電王戦の対局内容に移りますが、米長元名人は初手6二玉と定石のない手を指して、評関数の穴を突きます。これを米長元名人は「局面を複雑化する」とその理由を説明していました。
(実はこの手について、コンピューター将棋の開発者からのアドバイスがあったようです)
人間なら間違いなく飛車先の歩を突きますが、ボンクラーズは6筋に飛車を振り、米長元名人の術中に嵌ります。
攻め手のなくなったボンクラーズは意味のない手を繰り返し、じりじりした米長元名人は金を寄せていきます。
その一瞬の隙を突いて、ボンクラーズは一気に攻めに転じ、米長陣を崩壊させました。

番組の最後は、コンピューター将棋に詳しい電気通信大学助教授の伊藤毅志とキャスターが対談をする。
助教授が「人間の良いところとコンピューターの良いところそれぞれ補っていけばよい」という主旨の発言に納得です。

ここからは個人的な話。
現在、コンピューター将棋はプロ棋士と同等レベルまできています。弱いプロなら間違いなくコンピューターが上ですが、タイトル保持者クラスには及ばない。
そのようなところかと思います。
では、一気に抜き去るかと言えば、そこがなかなか難しいところで、市販ソフトでは強くするための改良をしたばかりに弱くなるということが多々あります。
技術的なブレイクスルーがない限り、ディープインパクト対カスパロフ氏のような微妙な結果が続くのかもしれません。
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