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江戸川乱歩『少年探偵団』シリーズ [書評]

江戸川乱歩が1936年から1962年にかけて執筆した少年向け探偵小説のシリーズです。
昭和初期に執筆されて、いまなお再刊行されて累計販売数が1500万部とも言われるお化けベストセラーです。

この作品の人気の秘密は、もちろん、何にもでばけられるという怪人二十面相です。人間だけでなく、怪獣にも、ときには仏像にも変身します。
美術品を愛好し、決して、ひとを殺さないし傷つけない。
大胆ながらもいつも奥の手を用意してあり、物語の途中でピンチに陥ってもするりと逃げ出す。
泥棒なのに憎めない。
一時的な爆発人気だけでなく、こうして長く読み継がれる理由のひとつに、いつの時代にも通用するヒーロー像に怪人二十面相が沿っているからではないかと思います。
展開やトリックもワンパターンながら、つぼを押さえており、平易な文章で読者をひっぱっていく力量は特筆すべきものだと思います。
第1作が雑誌に連載されてから80年近くたっているわけですが、古典作品としてではなく、いまも現役として読み継がれている稀有の例だと思います。
(少年少女向けで、江戸川乱歩先生より息の長い作品をぼくは知りません)

個人的なお勧めはこの4作品です。
『怪人二十面相』
『青銅の魔人』
『透明怪人』
『超人ニコラ』(ポプラ社版では『黄金の怪獣』)

華麗なトリックではなく、怪人二十面相の大掛かりな仕掛けを楽しむ作品だとぼくは理解しています。


怪人二十面相 (少年探偵)

怪人二十面相 (少年探偵)

  • 作者: 江戸川 乱歩
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 文庫



青銅の魔人 (少年探偵)

青銅の魔人 (少年探偵)

  • 作者: 江戸川 乱歩
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 単行本



透明怪人 (少年探偵)

透明怪人 (少年探偵)

  • 作者: 江戸川 乱歩
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 単行本



黄金の怪獣 (少年探偵)

黄金の怪獣 (少年探偵)

  • 作者: 江戸川 乱歩
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 単行本



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コメント 3

川越敏司

最近、わたしも集め始めたのです。「怪人20面相」と「少年探偵団」を手に入れました。子どもの頃は、たしかポプラ社のハードカバーを読んだ記憶があります。すぐにホームズものに流れましたが。ゆえあって、乱歩を読み返しています。
by 川越敏司 (2012-02-08 07:14) 

海野久実

僕は、子供のころにわくわくして読んだ記憶はあるのですが、ストーリーはほぼ覚えていませんね。
講談社の「江戸川乱歩全集」全25巻を持っています。
並べると背表紙が1枚の絵になっているという装丁ですね。
これの23~25巻が20面相、40面相のシリーズです(6話)
読み返してみようと思います。
でもはたして、これが子供のころに読んだそのままなのかと思うんですが、どうなんでしょうね。
1巻に2話入っていますが、小さな文字で2段組みです。
ということはかなり長編ですよね。
そんな長編を、子供のころに読んだとは思えないんです。
子供向けに書きなおされた物を読んでいた、なんて事もあるんでしょうか?
by 海野久実 (2012-02-08 09:54) 

サイトー

>川越敏司さん
うちにも1冊だけハードカバーがあります。ソフトカバーとは絵が違うんですよね。
本格ミステリが好きな方には物足りないと思いますが、エンターテイメント性は抜群だと思います。
これを昭和初期に書くのだから、乱歩はすごい作家だと思います。

>海野久実さん
たぶん子供のころに読んだのと、それほど変わっていないと思いますよ。
平易で優しい文体なので、子供でもすらすら読めると思います。
意外と子供でも長編を読めますからね。
by サイトー (2012-02-08 22:24) 

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